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パピヨンパパの思うこと
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<   2019年 03月 ( 3 )   > この月の画像一覧


ネコ科大型肉食獣の教科書(読書no.303)

「ネコ科大型肉食獣の教科書」 (著・秋山知伸)

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大型のネコ科動物といえばライオン、トラ、チーター、ヒョウ、ジャガー、ウンピョウ、ユキヒョウがあげられる。この本はその7種をあげるがそれにピューマを加えて8種が世界に棲む。動物園では人気抜群の動物たちだ。


ペットの犬
と猫派は半々だが犬科動物のオオカミ、ジャッカル、キツネ、タヌキに比べると動物園の人気ではネコ科に軍配があがる。その中でもコアな人たちに圧倒的人気なのはユキヒョウで多摩動物園では多くのマニアがカメラを手に柵の前に陣取っている。


著者も大のユキヒョウファン、ファンが高じて研究者にもなり野生のユキヒョウを追うためにフリーランスフォトジャーナリストの身で自由を得ている、短期就労で貯めては野生の大型ネコ科動物を追い世界中を駆け巡る。その思い入れがこの本すべてに写し出されている。


ネコ科大型動物の雑学を披露すれば犬科動物の多くは群れで過ごすがネコ科動物の殆どが繁殖育児期を除いて単独で過ごす。その中でライオンだけが群れを成す、オオカミのように群れで狩りをするから大型動物を狙うことができる。


ネコ科動物は雨を嫌うが水を厭わないのがトラだ。チーターは速く走るために柔軟な細い体を持った、だから獲物を採ったら素早く食べるか樹上に持って行き他の動物に取られないようにしている。爪もすぐ走るために出たままで他のネコ科動物とは違う


横浜ズーラシアではチータと草食動物を一緒に展示していてシマウマに追い立てられるチータを観ることができる。


ユキヒョウはヒョウよりトラに近い、岩山で走り草食動物を捕る、そのためのバランスを崩さないための太くて長い尾や岩山に同化するための紋様は最も優雅な姿を作り出す。


著者は野生のユキヒョウを観るために何日も高山で過ごす、極寒と戦いテントに寝泊まりしその一瞬を待つ。数十万円を費やすその時が無残にも訪れることなく旅を終えることもある。ユキヒョウが棲む土地は国境の定まらない戦場でもある。障害を越えても観たいと著者を後押しするのは野生動物の迫力ある神秘的魅力だろう。


動物園なら手軽に見られるその姿は野生とは全く違う。常時食を求める野生動物は毎日が死との戦いだ。定時に食事を与えられる飼育動物とは全く違う。


哺乳類の中で野生動物は4%、家畜が
60%残りは人類が占める。

野生動物絶滅の危機は人類がもたらしている。その中にあって動物園の役割は重要だ。


動物園の動物を見て想像力を膨らませ野生状態に思いをはせるためにも著者のような人が必要だ。著者は資金の乏しい中で奮闘しユキヒョウ保護のために基金を立ち上げ現地の人たちと協力している。


野生動物を知るために
TVは絶好の媒体でNHKの「ダーウィンが来た」や「ワイルドライフ」がおススメだ。ただ著者はNHKの取材は何百万もかけて大規模だがその費用効果は小さいと嘆く、やはり大名商売なんだと思う。


NHK
の偏向が指摘されているのは特に政治部、今や政府広報に成り下がっているのが現状だ。動物番組を支えているのは文化部だろうか、民意に反した辺野古埋め立てでジュゴンが死に希少サンゴが絶滅に追いやられている。そうした番組をつくるべきではないかと思う。

著者はユキヒョウの保護には戦場と化す地域や長年の戦争で疲弊した経済事情によって密漁が横行した面が大きいと記す。野生動物の保護には政治が大きくかかわっているのだ


ジュゴンの生死がどうでもいいような政権にこの国を任せてはいけない。この本からも同じ結論が導かれる。



by willfiji | 2019-03-29 12:11 | 読書 | Comments(0)

巌窟王・モンテクリスト伯 上巻・下巻(読書no.302)

巌窟王・モンテクリスト伯 上巻・下巻」(著・アレクサンドル デュマ)

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翻訳者黒岩涙香(るいこう)が新聞連載を始めたのが1901年(明治34年)、パリでデュマが発表したのは1845年だから約50年を経ている。

黒岩の翻訳を底本とする本書は上下で
1000ページにも及ぶ。主人公ダンテは團友太郎(だんともたろう)、恋人メルセデスはお露、船主モレルは森江と言う名前で登場させる。


巌窟王の話はビクトルユーゴーのレ・ミゼラブル(ああ無常)と同じように戦前戦後を含め多くの少年少女が児童文学書として接した。


ボクも何度か読んだ記憶がある。児童書とは違う本書を読むきっかけは防衛について与党議員がモンテクリスト伯を座右の銘としたと言った時、文学書出版の編集者がそれならば日本の防衛費増に反対ではないのかと鋭く問う報道番組を見たからだ。


日本は少年少女期に童話や文学に親しんだ人たちが多くいて日本の平和はそれを育む環境があるから維持されてきたと思うがこの与党議員のように変説してしまう人がいるのも事実だ。


主人公團太郎は婚約の席上反乱の疑いで逮捕され島流しにされる。婚約者露子に片思いした次郎と團の有能ぶりに嫉妬した段倉の企てだった。時はナポレオンがセントヘレナ島に流されていた時。團は無実を訴えるが王政派の蛭峰判事は裁判も行わず團を島の土牢に入れてしまう。

團が真っ暗な土牢から死人の埋葬袋に入って脱獄したのは十数年を経た時だった。


團の逆襲がはじまる。物語は恨みを晴らすとはどんなことか?目には目を歯には歯をテーマにデュマは次々と復讐する團の姿を描く。読者は最初痛快だがやがてモンテクリスト伯となった巌窟王團の行動に疑義を抱くようになる。

人間にとって大切なのは何か?奪われたら奪い返すのが正義か?この永遠のテーマをモンテクリスト伯の苦悩としてデュマは
1000ページの大作で問う。


凶悪人によって殺害された家族が死刑を望む。すべての戦争が防衛の名のもとに始まる。

日本政府は北朝鮮に対して対話より圧力を選択する。意味のない軍拡チキンレースはいつまでも続く。最近の日韓状況は子供の喧嘩に似て良識から遠く外れる。

モンテクリスト伯は遂に罪に陥れた全ての人に復讐し恨みを晴らすことになる。


彼が旅立つ船上で見せた涙の意味を読者は沈鬱な思いで知る。

モンテクリスト伯は今一度読み直すべき古典である。


少年期にこの本を読んだことがないか理解力に乏しかったのか変説したのか。軍拡を支持する人たちはそのいずれかではないかと思うからだ。



by willfiji | 2019-03-21 12:09 | Comments(0)

民主主義の死に方(読書no.301)

「民主主義の死に方」 (著・スティーブン レベツキー他)

二極化がする政治が招く道。司法を抱き込み、メディアを黙らせ、憲法を変える。「合法的な独裁化」が世界中に静かに進む。

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トランプ大統領の登場によってアメリカの民主主義が危機にあるとする研究者の書、世界各国でベストセラーになっている。


トランプ大統領が多くの専門家の予想に反して誕生し、独裁的であっても支持基盤を強めている理由を解明し、最悪の事態を回避する方向を示している。


この傾向はアメリカのみならず既に独裁国家になってしまった南米の国々やロシア、トルコ、フィリピンの情勢を歴史的に分析しながら、極右の台頭を大局的見地から抑え込んだフランスや北欧政府の例を出し民主主義の崩壊を食い止める可能性を著している。

この本の対象は日本ではないが、安倍政権にあまりにも類似している。1強多弱という政党政治は安倍首相をますます奢らせ、法治国家としての規範を失っている現実がある。民主主義が死んで行く過程は安倍政権がやっているそのものであることに驚くばかりだ。


著書は「選挙で選ばれた独裁者は民主主義を壊そうとする。裁判所その他の中立機関を巻き込んで自分の武器に変えメディアと民間部分を買収し政治のルールを書き換えて対立相手に不利な状態を作る。結局のところ政府の運命は市民の手の中にある、市民が独裁主義者を進んで受け入れようとした時、民主主義は危機にさらされる。

そうであっても民主主義を守る砦があるそれは政治エリートたちであってフィルターとして機能しているかどうかにかかっている。選挙で選ばれた指導者を市民が信用出来ない時、議会制民主主義基盤が弱まっていく。市民が自ら選んだ指導者の言葉を信頼出来ない時、選挙の価値は下がっていく」と著す。


マスコミ各社での世論調査の結果は安倍政権がこうした独裁政治である証拠となる。人柄が信用できないと答えた人が
60いるのに40%の人が支持する。自民本流の意志は安倍氏の政治思考とは異なるのに多数が安倍氏を自民総裁に選ぶ。国会議員が民主主義のガードレールになれず、国民が政治家に善を求めない社会になっている。


著者は民主主義の復活を寛容と自制の政治家を国民が選び国会議員をはじめとする政党幹部らの政治エリートが民主主義擁護の理性を持つことを切望している。


フランスのマクロン政権は極右のルペンが大統領になる事を左右の両陣営が日ごろの主義主張を自粛することによって協力し拒んだ結果誕生した。

安倍政権の独裁が日本の民主主義をむしばみ倒壊させる前に国民が気づき政治エリートが自らの使命に忠実になる事をこの本は強く訴えている。



by willfiji | 2019-03-02 17:20 | 読書 | Comments(0)