「浸食捜査」 (著・安東能明)
水死体で発見された若い女性の胸に小さなあざのような刺青が?
赤羽署安全課の疋田は入水自殺と思われた遺体から事件性を感じる。
物語は警察小説の期待を裏切らず、病院詐欺や患者取り違え事件等をからませ絶妙な展開で読者を引き付ける。
美容整形失敗に見せかけた殺人の背景に病院の隠蔽体質と過去の犯罪調査の過ち、疋田がそれを暴いていく。手術台に乗った患者に殺人者となった医師のメスが迫る、
飛ぶようにページがめくられ、気が付けば一気に読んでしまった。
犯罪と言えば一連の安倍首相の疑惑の中でも首相擁護で有名になった山口敬之氏のレイプ事件のその後どうなったのか?報道から姿を消してしまったことに疑問をいだく。
この事件は逮捕寸前で首相官邸の圧力によって逮捕見送りになったものだ。
レイプいう一般には公開しにくいものであったことや被害女性から検察審査が出されているという理由もあるだろうが、審査のハードルが高いだけに、山口氏に司法の手が伸びない事も考えられる。
そうだとしたら日本は法治国家と言えないことにもなる、重大な問題だ。もし山口氏が首相に近い人でなければ逮捕されていたからだ。
薬で意識を失わせた女性に性的暴行を働くという卑劣な行為も許せないが、被害者女性が勇気を持って訴えたにも関わらずハニートラップ等とその女性を貶める特にネット右翼の言動は政権の暴挙と共に看過できない問題だ。
警察小説なら、握りつぶした北村内閣法制官や中村刑事部長は山口氏と共に罪を問われ安倍政権も退陣を迫られるが現実はそうならないような情勢だ。
安倍政権の疑惑は何一つ解明されていないどころか北村氏や中村氏は森友学園問題の佐川氏と共に栄転の褒美が与えられている。
時間が経過することを政権は待っている。
ボクも含め飽きやすい日本人ではあるが、ここで目を離したら、政権の思うつぼだと心しなければならない。
正義が勝つ小説の世界を誰でもが期待するようにリアル社会も悪者が退治されることを誰でも望んでいる。