日経ビジネスの書評にミステリーが掲載された。
その中の1冊が「一千兆円の身代金」(著・八木圭一)だ。
この金額は言わずと知れた国の借金額。
物語は元大物政治家の孫が誘拐された所から始まる。国の借金を次の世代に押し付けた
官僚や政治家に鉄槌を浴びせると犯人は
借金と同額を用意し若者に配れと言う。
とんでもない要求だが犯人や取り巻く関係者の行動や思想を現実の日本の姿そのままに書かれている。
ソースを政治に求めミステリー仕立てにする手法はアイデアたっぷり。日経ビジネスが取り上げたのもうなずける。
第2次安倍内閣が発足した。アベノミクスは円安を招き株価を押し上げデフレからの脱却を目論む。
日銀による異次元の金融緩和により公共投資は増え人手不足が始まった。同時に国の借金も更に積み増しされた。呼び水によって国を立て直すというアベノミクスに
ほころびも見え始めている。
次の世代に負担を強いる政策は古い時代の政策でしかないと誘拐犯はいう。この国は果たしてどんな国になっていくのだろうか?
作者の一文にどっきりする。「学生運動をよくよく調べてみると運動が激化する前、学生のほとんどは真剣に
矛盾社会を変えられると信じてまじめに活動していた。」あの時できなかったことが今でもできていない。
政権交代は古い皮を脱ぎ棄てる絶好のチャンスであったがあっけなく砕けて消えてしまった。既存革新勢力は感性に乏しく自由闊達を認めないから国民運動と連動することはない。これも全共闘時代から変わっていない。
「
連帯を求めて孤立を恐れず」力尽くすこと。学生時代の思いが今に繋がっている。