この作家がおもしろい!とこれも友人Hのおススメの1冊。
「テロリストのパラソル」(著・藤原伊織)は江戸川乱歩賞と直木賞も受賞しているめずらしい20年程前の作品だ。
島崎はアル中のバーテン、新宿中央公園で爆弾テロ事件に巻き込まれる。その現場から逃亡する。
容疑者とされ警察が追う、浮浪者に紛れ新宿地下の段ボール住居に身を隠す。
著者が描くストーリーは一挙にその更に20年前に飛んで
ボクの歴史にも繋がる。
1969年その年の1月東大安田講堂事件があった。東大入試は中止された。その年、東大とは無縁の大学に僕は入学した。大学紛争真只中だった。
島崎は全共闘として東大紛争にかかわり、友人が作った爆弾を誤って爆破させてしまった。以来22年も逃亡生活をしていた。友人もそしてその時同棲していた女性もなぜか中央公園でのテロ爆破現場にいて死んでしまった。
島崎の謎解きがはじまる。
ミステリーが現実の自分史に重なって今のボクに大学紛争当時を思い出させる。
40数年前、東大駒場からのデモ隊の中にボクはいた。機動隊と衝突し留置され拘置された。2か月の拘留がその後の
ボクの生き方に多いに影響を与えた。
全共闘運動をした当時の大学生はほとんどが反省させられ、学業に戻りその後の
日本の高度成長を支えた。
アウトサイダーとして生きた島崎とボクはどう違ったのか?この本が書かれた当時ミドルになっていた元全共闘の人達が何を感じて読んだか?ボクならどう読んだか?想像に難くない。
その後20年とちょっと経ってリタイヤを迎えた。あの時があって今がある。
人類の理想社会を追いかけた時があったこと、決して無駄では無かったと思う。
友人Hはどう読んだか?今度会う時が待ち遠しい。