空のように、海のように♪


パピヨンパパの思うこと
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「浸食捜査」(読書no.227)

浸食捜査」 (著・安東能明)


水死体で発見された若い女性の胸に小さなあざのような刺青が?

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赤羽署安全課の疋田は入水自殺と思われた遺体から事件性を感じる。


物語は警察小説の期待を裏切らず、病院詐欺や患者取り違え事件等をからませ絶妙な展開で読者を引き付ける。


美容整形失敗に見せかけた殺人の背景に病院の隠蔽体質と過去の犯罪調査の過ち、疋田がそれを暴いていく。手術台に乗った患者に殺人者となった医師のメスが迫る、


飛ぶようにページがめくられ、気が付けば一気に読んでしまった


犯罪と言えば一連の安倍首相の疑惑の中でも首相擁護で有名になった山口敬之氏のレイプ事件のその後どうなったのか?報道から姿を消してしまったことに疑問をいだく


この事件は逮捕寸前で首相官邸の圧力によって逮捕見送りになったものだ。


レイプいう一般には公開しにくいものであったことや被害女性から検察審査が出されているという理由もあるだろうが、審査のハードルが高いだけに、山口氏に司法の手が伸びない事も考えられる。

そうだとしたら日本は法治国家と言えないことにもなる、重大な問題だ。もし山口氏が首相に近い人でなければ逮捕されていたからだ。


薬で意識を失わせた女性に性的暴行を働くという卑劣な行為も許せないが、被害者女性が勇気を持って訴えたにも関わらずハニートラップ等とその女性を貶める特にネット右翼の言動は政権の暴挙と共に看過できない問題だ。


警察小説なら、握りつぶした北村内閣法制官や中村刑事部長は山口氏と共に罪を問われ安倍政権も退陣を迫られるが現実はそうならないような情勢だ。


安倍政権の疑惑は何一つ解明されていないどころか北村氏や中村氏は森友学園問題の佐川氏と共に栄転の褒美が与えられている。
時間が経過することを政権は待っている。


ボクも含め飽きやすい日本人ではあるが、ここで目を離したら、政権の思うつぼだと心しなければならない。

正義が勝つ小説の世界を誰でもが期待するようにリアル社会も悪者が退治されることを誰でも望んでいる。


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by willfiji | 2017-08-15 18:09 | 読書 | Comments(0)

「サイバー・コマンド」(読書no.226 )

サイバー・コマンド」 (著・福田和代)

サイバーテロという危機が世界を襲っているが、どんなことが起こるのだろうか、サイバーとはインターネット空間と考えていいだろう、インターネットを使ったテロをどう防ぐのか、そんなことが書かれている本を手にした。


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明神海斗が防衛庁のサイバー防衛隊に勤務したのは、自衛官に必須の体力には自信はなかったが、ハッカーとしての能力が際立っていたからだ。


インターネットが武器になる
、海斗はサイバーを戦場とする兵士なのだ。


トランプ大統領のロシア疑惑や北朝鮮や中国が発信先だとされるサイバー攻撃による通信障害疑惑がニュースに頻繁だが、情報戦は自由社会においても今や常識でメルケル首相がアメリカ滞在時に盗聴されたことなどで明らかだ。


ネットの世界で怖いのは、誰でもハッカーになれ、そして国境を越えて同志を募ることができる点だ、同志が集まれば
CPUが加算され戦闘力も増す。


この小説はちょっとしたことでサイバー戦争が始まり、その国のインフラを破壊する可能性を示す、コンピューターをコントロールすれば、交通機関を麻痺させ大事故をおこすことも、原発に入り込んでメルトダウンを起こすことも可能だ。


第二次世界大戦を契機に国際連合や
EUを産んだ世界がにわかに岐路に立っている。


日本にしても平和主義や民主主義が揺らいでいる。先の大戦から人々は善なるものの大切さを知り、性善説が世界をリードした、だが今、平和の芽を摘む勢力が待っていたように現れ、暗雲が出番をうかがう、自己利益実現を優先し他人を配慮しない人が闊歩する、ネットの世界は更に激しい、匿名性にあるからだ。


インターネットは本来人間の善意によって成り立つ仕組みだが、悪用する輩が幅を利かせていることも否めない、ネトウヨなど最たるもので愛国心というより自己顕示欲やフラストレーションの発散に近い、彼らの非難と罵倒はおよそ文明国の物言いではない。


この本はそんな人たちが仕掛ける戦争があると示すのだ、愛国者を語る人が集団で他国をサイバー攻撃することは可能だ、国がその人たちを仕向ける危険性もある。


武力行使がサイバーという手段になっても変わらないものがあると著者は綴る、国同士、国民同志が憎しみの連鎖を解き、自国も他国も互恵によって成り立つという正義に立脚することだ。

正しいことをやり続けるのが難しいなら正しくないことをやらなければいいのだ。
「正しいことをしなさい、正しくないことがわかれば正しいことがわかるはず」、


サイバーテロ攻撃を最小限に食い止めた海斗はこの言葉をかみしめる。


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by willfiji | 2017-08-08 10:25 | Comments(0)

「パレートの誤算」・(読書no.225)

パレートの誤算」(著・柚月裕子)

パレートの法則と聞いてピンとくる人は少ないだろう、「働きアリの法則」と同じ意味だという。働きアリには働いているアリが8割、遊んでいるアリが2割いる。

働いているアリだけにしたら効率がいいと思うだろうがそうしてもまた2割が遊ぶアリになるという法則だ。

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主人公聡美は社会福祉課の臨時職員、入社早々ケースワーカーの仕事を覚えることになった。生活保護世帯を訪問して、面談して状況確認しできれば自立を促す。


やりたくない仕事だったが、その仕事を使命としてこなしている先輩を知り尊敬するようにもなった、その先輩が家庭訪問先で火災によって死亡する、検視結果は他殺だった。


聡美は貧困ビジネスの実態を知ることになる。裏社会が弱者から搾取する世界だ。社会保障をできるだけ抑える政策もあって生活保護申請にはいくつかのハードルがあるが、貧困ビジネスの魔の手は役所関係者にも及び手口が巧妙になっている。

亡くなった先輩社員が疑われる、聡美は疑問を解明するために役所内の資料を調べるが不正受給はマスコミから叩かれるため役所には不正受給の実態を隠蔽する体質がある、聡美の行動はそうした役所の体質から外れ上司から叱責される。

犯人捜しは警察にまかせろとの指示に聡美は納得しない、上司に隠れて重要な証拠をつかむ、聡美の身に危険が迫る。小説にどんどん吸い込まれていく。


この本は生活保護の意味を問う、ボクは自由世界を支持する、芸術や文化が政治的な理由で規制されることはあってはならないと思うからだ。人は自由闊達にやりたいことをやればいいと思う、そのための競争も必要だ。


但し自由の権利を差別によって奪う事、そして勝者だけが権利を与えられる事には絶対反対だ。生活保護世帯のような弱い立場の人やハンディキャップを持った人にはフォローが必要だ。

健常者が障害者を差別することはもちろんのこと民族が他民族を差別することも自由社会とは言えない。人は生まれた環境や民族によって差別されることがあってはならないと強く思う、平等を教えるのが教育だ。


安倍政権になってから強者の論理が横行している、自民議員から生活保護世帯の給付と不正受給は別問題なのにまるで同一問題のような声があがることや行革推進の主張には共感したが弱い人たちを切るような政策を打ち出す維新にはがっかりさせられる。

カジノ依存症になるのは本人が悪いからと言ったり沖縄の人たちを土人と揶揄した人を庇うなどの大阪府知事の姿は人間性のなさ露呈したものだ。

政治には思いやりがなければならない。障害者施設に押し入り障害者を次々に殺害した事件から1年経つが犯人は反省するどころかナチスドイツの優生学を信条とする発言をしている。

このようなネトウヨやヘイトスピーチの言動が日本社会へ影響を及ぼす、自己民族優位という観念の世界で政治を歪める、今までの日本では考えられなかったことだ。


国民主権、平和主義、基本的人権を守るのが民主主義国家の基本でその考えにたった生活保護世帯への給付は必要不可欠なものだ。


働きアリの論理で切り捨てることは簡単だが、切り捨てられる人の中に懸命に生きる努力をしている人たちがいることを忘れてはならないと著者は結ぶ。


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by willfiji | 2017-08-04 10:44 | 読書 | Comments(0)

天皇125代と日本の歴史・(読書no.224)

天皇125代と日本の歴史(著・山本博文)


日本人は天皇に対して様々な思いを持つ、今上天皇の退位について特別法が設定されたが本来天皇制を支持してきた人たちと天皇自身の思惑が違ったことに疑問を持った人はボクだけではないだろう。天皇とはいったいどんな人なのか。

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神武天皇から今上天皇までの125代、南北朝時代の北朝天皇を入れて130人の天皇を記したこの本は、天皇の歴史を通じて日本史を再学習させてくれる。


天皇は神話の世界から始まる、歌手から議員になった三原じゅん子氏は神武天皇がいたことを信じると言って安易な歴史認識を披露してしまったが、戦前国民はそう教えられた。


ボクが小さいころ母親もそう思っていたと話していたことを思い出す、今でもそんな人が結構いるとは驚きだ。


神武天皇がいたとされるのは縄文時代、律令制があるはずはない


神話の世界が続いて、実在しただろうと思われる天皇は
673年の飛鳥時代の天武天皇ぐらいからだとする、神武天皇がいたという前660年からは1300年以上経っている


それから天皇の変遷は面白い、平安京を建設した桓武天皇の母親は朝鮮から来た百済系渡来人、差別主義者は知ろうともしない。桓武天皇の子嵯峨天皇には妻だけでも
24人いて子供が24人、下位の者に源の姓を与えて嵯峨源氏となった。


一夫一婦制は昭和天皇になってからで側室や女官の子供から天皇になった人もたくさんいる。明治天皇も幸明天皇の正室には子が無く養子だ。女性天皇も多く飛鳥奈良時代は
6人の女性天皇がいて女系から相続された。


天皇は様々な経緯で今に続く、日本独自の存在でもある。


武家社会の中でも排除されなかったのは、権力者を任命役としてうってつけだったから、

そして天皇は武から離れ、教養と徳を持つものとして崇められた。


明治維新で王政復古を果たした薩長は天皇を利用して大日本国憲法を作った、
統帥権を持たせ、軍と行政府を分けたことが天皇の意志と反して太平洋戦争に向かわせた

そのやり方は現政権の改憲をめざす方向と同じで、天皇を元首にして立憲君主制を蘇らせる。その意図は天皇を利用して民意の自由を許さず権力者の意向のままに動く国を作るというものだ。


天皇は神でも
2500年続いた家柄でもない。天皇は神社が全国にあるように日本文化であって、国民の安穏を願う人でいいのではないか、そのことを天皇自身も望んでいる。


昭和天皇が軍部に組み込まれた戦争への道は正しい道ではない。


神話時代からの天皇の歴史を再読して、平和国家日本を象徴する現憲法は天皇への思いと共通する普遍的な価値観から生まれたと思うに至った。国民主権と象徴天皇が共存する日本でいいのだ。


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by willfiji | 2017-07-23 16:37 | 読書 | Comments(0)

知らなかった、ぼくらの戦争 (読書no.222)

「知らなかった、ぼくらの戦争」(編著・アーサー.ビナード)


ボクが著者を知ったのは、 
BSスカパーの「ニュース・ザップ」という番組で1週間に一度コメンテーターとして登場していたからだ。


氏は大学卒業後来日しその後、それから覚えた日本語で詩人となった。優しい言葉を持ちながら平和への思いを語る時は情熱的だ。意見を持つとはこういうこととピューリタン精神を思い知らされる。

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著者はボクより17歳も若いが戦争を風化させない役割を担おうとしている。

ボク自身のブログが政治的になったのと彼の思いは同根だ。ボクも戦争は知らないが知っている人がいる時代に生きたものとしてそれを受け継ぐ使命があると考えている。


著者はアメリカ人の誰もが思っていたように原爆投下は戦争を終わらせるために必要な手段だったと思っていたと語る。日本に来て、その立場に疑問を持ったのだ。


東京大空襲や各都市に
B29から投下された爆弾も無差別攻撃であって正統性はないと断言する。

日本の戦争を肯定する受け狙いの外人がいるが著者は偏らない、そこが真実を伝える良識だ。


日本は被害者であると同時に加害者だ。安倍政権はその視点が欠けている。


1948
年東京裁判で25人が平和に対する罪でA級戦犯にそのうち7名が巣鴨で絞首刑になった。東京裁判は特筆されるが、日本が侵略したアジアの諸国で犯罪者として裁かれた人もいる。


その人が語る、「国家が言っていることとやっていることがかみ合わないまま自分が国を愛してやったことが犯罪者として裁かれた、戦後
11年牢獄に入れられ解放されたのは警察予備隊が出来た時だ、現地の罪のない人を殺したにもかかわらず日本の再軍備によって戦犯英雄論が出ることは耐えられない」と。


「みんなまわりと仲良くすることが一番好きで孤立するのが怖い、だから戦争が始まった」と、戦争を語り継ぐことを使命と感じた人は戦争になって行った状況を反対が言えない世相だったと振り返る。


皇民化教育とは天皇のために命をささげるのが人間として一番正しいとした学校を通じた愚民政策だ。


初春、朝潮、陽炎、雪風、大和、武蔵、美しい名前を戦艦につける。

戦死に散るという言葉をあてる、玉砕という言葉もある、戦争が美化される。


統治下の台湾では日本本土出身者は一等国民、沖縄出身者は二等国民、台湾人は三等国民と使われた。日本民族を優越化する皇国史観が特にアジアの人たちを統治する指針となった。


安倍政権以前は右翼の街宣車上でがなり立てる人を見ても特殊な人たちだと見向きもしなかった社会だったが、
ネトウヨと言われる人たちが現れ、差別主義者がヘイトを繰り返すデモを行うなど、かつての愚民政策に賛同するような情勢が出てきた。


森友や加計問題があって、安倍政権の持つ戦前回帰思想が姿を現し、支持率が急降下していることは日本人が良識を持っていることの証だが未だにその論調を譲らない人たちがいる。


戦争中の大空襲や原爆投下のもと逃げ惑うゾンビと化したたちのことを知ったらとても人類のやることとは思えないはずだ。

資源を求めて侵略したその地で日本は加害者であった、その地で何がなされたか、被害者の身になることも加害者の身になることも日本人はできる、それが70年間一度も戦争をしなかった日本の知恵を生み出した。


加害者でしかなかったアメリカは朝鮮戦争、ベトナム戦争、等々200回も戦争を繰り返している。

街宣車に乗った右翼の言葉に耳を傾ける人などいなかった時代を日本人は作ってきた、ボク等は安倍政権の終焉を決めて、戦後を続けていく義務があるのだ。





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by willfiji | 2017-07-15 16:14 | 読書 | Comments(0)

「元気な日本論」(読書no.221)  

元気な日本論」(橋爪大三郎×大澤真幸)  


日本は最近、元気がないのは方向感覚を失っているからだと橋爪氏が前置きし、大澤氏と対談する。
注目の有識者である二人が日本列島起こったあれこれの出来事が、人間史のなかでどういう意味をもつのかを普遍的な言葉で語る。

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元気がないから日本の自尊心をくすぐり追いついてきた他国を非難するリテラシーの全くない書物とは対照的に知識で論理づけていく内容は心地いい。


本屋に並ぶ右傾化する書物を一笑に付すこの本がベストセラーになっている、深い知識で納得いく歴史が語られる。


天皇という名がついたのは、
7世紀の持統天皇のころからだろう、日本という国名が中国から見て日が昇るもとであったほど中国との関係深い、中国では皇帝がいて天はよりカミ的なもの、日本では大君と呼ばれていたが次第に天皇というようになった。


昔、結婚は通い婚であったというは面白い、有力者の娘は別室を持たされて色んな男たちが通う、子供ができると親はその中から一番秀でた人を娘の相手と認めるのが通い婚だ。その中に天皇になる人がいればその人を選ぶ、
DNA検査などない時代、娘の血統が天皇家を継ぐ


天皇に能力が無くてもそれに代わる地位を築いたのが藤原氏、摂関政治で国を治めた。

天皇を祀って実験を握るスタイルは日本独自のシステムとなって引き継がれて行った。


この本の何冊か前の「近代天皇論」(読書
no.216)と同じ見解でしかも更に詳しく両氏が語る。


江戸時代、武士は戦う必要がなくなったから儒教や朱子学がといった学ぶ世界を持った。

その中で国学が生まれ、本居宣長は古事記と源氏物語を通して、フィクションとして儒教、朱子学との矛盾を埋めた。

更に水戸学が国学と儒教を妥協的に組み合わせて説得力を持たせる、それが尊皇となり明治維新の活力となった。徳を無くしたら天皇に代わって統治し徳を取り戻したら天皇に返還する、これが日本の統治システムだ。


徳とは戦争のない世界を作ることだ。もののあわれがあればよいと本居宣長は源氏物語を例に出し古事記からは神の国のロマンを引き出す。

天皇は特殊な存在だがそれによって他民族より優れている理由にはならない。ロマンをロマンだと受け取ることが本質を見抜く知識となるのだ。

戦前回帰を目論む皇国史観は古代から続く日本の歴史を完全に捻じ曲げている。


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by willfiji | 2017-07-07 15:29 | 読書 | Comments(0)

「月の満ち欠け」(読書no.220)

月の満ち欠け」(著・佐藤正午)

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人間は死んだら何処へ行くのだろうか。

小林麻央さんが亡くなった、幼い子供をのこして旅だった思いはどんなものだろうか?


高齢で亡くなるよりも、また蘇って子供たちの前に立つようなことがあってもいいではないかと思われるほどの若い死だった。


この本は「前世を記憶しているこどもたち」というスピチュアルで不思議な現象を書いた本をもとに、ありそうでない世界を描く。


あったらいいな!と思う世界と「あっては困る」という世界が混在し「あるはずのない世界」が物語られる。


「生まれ変わってもまた一緒になる?」は恋人たちの共通する問いだ。
その答えは? 易しい質問ほど難しい

本はいくつかの生まれ変わりを人の半生の中で複数回登場させてサスペンスにも似た展開で読者を釘付けにする。

生まれ変わった幼い少女が大人の恋を語る。

少女を連れ出した白髪になった元夫がロリコンと疑われたりする。


もう一度生まれ変わってもまた一緒?というのは偶然の出会いから生じた二人だけの世界が決められた運命でありたいという願いから生まれる。


偶然ではないその出会いは生まれ変わるというロマンチックな世界がもたらしたもの、
人はロマンに引き寄せられるから本を読む。

「月のみちかけ」は地球の波の満ち引きを生むように決して一方に偏ることはない。


ちょっとだけ死んでくる」、そう言って結ばれない今の世界を逃れ結ばれる未来に夢を繋ぐ、もういくばくかの時しかない時間を捨てて次にかける。


ありようもない世界は死を軽く扱って、深いテーマに挑んでいる。


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by willfiji | 2017-06-30 15:25 | 読書 | Comments(0)

外来種は本当に悪者か?(読書no.219)

「外来種は本当に悪者か?」(著・フレッド.ピアス)The New Wild

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ボクが毎日のように犬と遊んでいる多摩川にもカミツキガメ、アリゲーターガー、そしてピラニア等外来種が住んでいる

春になればセイヨウタンポポがいっぱい咲いて、日本タンポポをみつけるのが難しい。


ボクの中にも「日本がんばれ!」の気持ちがあって、外来種がはびこることは望まない。


一方、人間社会を考えると排他性が勢いを増している。

最も憤りを覚えるのはヘイトだ。中国や朝鮮・韓国・在日の人まで憎悪する発言や行動が目立ってきている。本屋に行くとヘイト物が並び、最近はネトウヨをマーケットにしたゴーストライターに書かせた元外人タレントの本が30万部も売れたという。

普通本を読む習慣があるなら人は真実を知り、多様性を認めるようになるものだが、右傾化から抜け出せない人がいる。特にネトウヨの言葉は街宣車のがなり立てる騒音と同じで聞くに堪えないものばかりだ。在特の人たちがいることは日本人として恥ずかしいと思う。


人間も動物お同じような属性を持つとしたら外来種を忌み嫌うことはボクの心情にはあわない。
この本は外来種に対しての考え方に新しい世界を示す。ニューワイルドという新生態学だ。


環境保護はしばしば以前の状態に戻す手段を取る、保護地区の設定や外来種駆除の多くの有効性は限定的だ。

著者は「以前の状態」とはいつのことかと問う。在来種はいつ在来種になったのかということだ。日本人だって同じだ、中国や朝鮮、韓国のひとたちやアンデスに住む人たちと同じ蒙古斑を持ち、今生きている人間は共通の遺伝子を持っているホモサピエンスということを考えれば、みんな在来であって外来でもあるのだ。


この本には納得できない部分もある、環境はあるがままにしておけば自然そのものの移り変わりに対応する、それが自然だというものだ。


汚染が進んだ場所で在来種を押しのけて外来種が生き抜いていたら、外来種が生物多様性を守ったことになるというのだ。
今、野生動物が一番増えているのはチェルノブイリの人が住めない放射能汚染地区、かつて
5万人が住んだ場所にはヤマネコ、オオカミ、ヘラジカ、ビーバー、イノシシ等々、渡り鳥までやってくる。野生動物は長生きしたあげく病気で死ぬことはほとんどないと解説する。死生観を考えさせられる。


温暖化によって気温が
2度上昇すると1/4の動物が死滅すると環境保護者は言うが、新しい環境で生きる動物が増えてそうはならないと著者は言う。


「急激で破壊的な変化をふくめて、変わることは当たり前、世界はいつも流転、生態系が新しくなることは自然保護の脅威だとされてきた。それが現実でありチャンスでもある」と説明する。


30年程前、多摩川はヘドロの川だった、それが今アユが遡上する川になった、前述したように外来種も住んでいる。

多摩川が綺麗になったのは人間の意志による、その意志を自然の成り行きとすればそれに任せたままだとも考えるが、自然保護の観点があったことは確かだ。


外来種について考える時、外来種を認める中で人間ができることをしていくことだと思う。環境保護は大事だが捕鯨問題のシーシェパードになってならない。


アフリカのエボラ熱、ヨーロッパの口蹄疫、アジアの鳥インフルなどは持ち込んではならないし入ったら徹底駆除すべきものだ。


ボクに結論の出ないことがある。ニホンザルを守るために外来のアカゲザルを動物園が殺処分したというものだ。

固有種は日本の文化だが、守るために外来種を殺していいのか?


猿被害で
2万頭のニホンザルが殺処分されている現状もあって、アカゲザルを殺処分しても問題はないと判断があったようだが。ボクにはすっきりしないものが残っている。

ニホンザルの尻尾が将来長くなってもいいと思うのだが?結論は先延ばしだ。


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by willfiji | 2017-06-22 17:57 | 読書 | Comments(0)

落葉 (読書no.218)

落葉」(著・朝井まかて)明治神宮創建にかかわる意欲作。


ボクの勤めていた会社の最寄り駅は新宿だったが、代々木駅からも近く、そこは神宮の森につながっていた。

明治神宮は明治天皇と皇后を祭神とする神社であるが人々がお参りしていても明治天皇を意識する人は少ないのではないだろうか。

天皇とはきっとそんな存在なのだ。

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今上(平成)天皇の「お言葉」は日本国民が天皇という存在を考えるいい機会になった。


この本は明治天皇の陵墓を京都ではなく東京に作ろうとした国の意図と日本人が天皇に抱く特別の感情がどんなものであったのか明治から大正にかけての時代背景とともに書かれたものだ。


明治天皇は維新によって上京、江戸城を皇居に江戸を東京に変え、日本を国際社会の一員にのし上げた国民の心情的バックボーンとなった。

薩長が幕府を逆臣としたのは天皇の錦の御旗を持ったことによる。勝利した薩長は明治政府の中枢となり、国の方向を決めて行った。


日清・日露の戦争に勝利しアジアの中で唯一の先進国と認められた日本は第1次世界大戦でも勝者となり、国民の士気は高まるばかりであった


天皇が高齢になると陵墓をどこにするかが大きな問題となる。遷都宣言なく明治天皇は皇居に住み、京都に行くことがあってもそれは帰るとは言わなかった。


財閥も東京に明治天皇の陵墓を作ることに懸命となった。莫大な工事費という実利もそれを促した。


物語は明治神宮作りの議論からはじまる。候補地である代々木は武蔵野丘陵の端にある、厳かな針葉常緑樹が育たないのだ。専門家の教授が異を唱えても権力の前に組み込まれていく。

教授が見出したのは150年構想だ。短期でも樹を植えてあるものは枯れあるものが再生し次第に常緑の森をつくるというもの。広葉常緑樹がまず植えられる。


国民が持つ天皇への特別な感情、それが物語の大きなテーマになっている。

神社に祭られる天皇は国民の安穏を願う人だ。日露戦争を境に天皇の全国行脚が始まる。天皇が宮中に納まったのは武士の時代になってからで、その前の天皇はいつも民の釜戸をみてその暮らしが安穏であることを神に祈っていた


その姿が晩年の明治天皇にもあった。


今上天皇の慰霊地をまわり被災者に正座で対面する姿に戦争責任を追及された父親の昭和天皇の面影はない。その姿をみて天皇に対するボクの考え方も変わってきた。


明治維新によって天皇の時代が再開し、薩長政治が天皇を利用して富国強兵の道をいっきに駆け上る。明治天皇自身の思いを知ることはできないが、
明治天皇に対して、「互いに血を流して荒野に死ねよとはそれが人の誉であるとは、それが帝の深き御心でありましょうか、さようなはずは、ございませんでしょうって」と与謝野晶子は言っている。


自由民権運動や大正デモクラシーがあって立憲君主制であっても民主主義に日本は向かったが、世界恐慌が日本をも包んで行った中でアジアの盟主としての振舞いは資源を持つ中国への侵略という軍部が率先したものだった。

軍は兵を集め士気を高めるために天皇を利用した。明治天皇の維新における意志ほど希薄ではなかったが昭和天皇は東条内閣が嫌いであっても軍事政権を統帥する立場で戦争に突入した。


明治天皇がそうであったように、天皇は神様となり、日本兵は神の軍隊となった。


北朝鮮の映像でかつての日本の姿を想像することができる。

権力を握った独裁者は自分への批判は許さない。批判をかわすには神様が一番徳川家康も皇帝ではなく征夷大将軍になったのも日本にはいつも天皇がいてそれなりの役目を果たしたからだ。


安倍政権は憲法改正を目論み天皇を元首にする案まで持ち出している。国民主権を反故にする。権力は天皇を利用する。

それは国民の持つ意志とは違う。

今回の生前退位でもそのことが明らかになった。

天皇が希望した生前退位は認めないというのが安倍政権の姿勢だ。


それにはネトウヨに惹かれただけの人もびっくりしただろう、天皇は神だから生前退位などありえなないというもの、今上天皇の意志が無視されたのだ。その後修正され特例法が出来たが見逃せないのが天皇を神事のみに押し込め利用しやすくする安倍政権を支える日本会議の意思だ。


今日の国会でも共謀罪法案が十分な審議なしに可決された。

安倍政権は議論させない国を作っている。

天皇への思いも含めて日本人の謙虚さを利用している、政治を口にしない人が多く無関心、長いものにはまかれ、権力の思うままに動く。自由に伴う責任を果たして行くことは大変で従うことの方が楽だという社会になっている。


社会全体が批判しない傾向にあるのは仕方がないことかもしれないが何か悲しい国になっていくような気がしてならない。


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by willfiji | 2017-06-15 16:55 | 読書 | Comments(0)

「終わらざる夏 。上・下」(読書no.217)

終わらざる夏。上・下」(著・浅田次郎)
終戦は1945815
日、それでも戦争が終わらなかったという史実をもとに書かれた悲劇の物語だ。

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映画「この世界の片隅に」が大ヒットした背景には、戦争が終わって70年経って世相が変わってきたことによる。2度と戦争は起こさないと誓った反省を威勢のいい言葉で一蹴するナショナリストたちが存在感を出している。そのことを危険だと感じ取った人々に訴えるものがあったからだ。この本も当時の一般の人たちが戦争を体験しどう感じたかを映し出しそんな世相に一石を投じる。


今国会を通そうという「共謀罪」、これがどんなに悪法なのか、この本が書かれたのは
7年も前だが、戦争時の治安維持法が自由を奪っていったことを明白にしている。


主人公が語る、「片岡が憎んでいるものは戦争そのものではなかった。非常時の名のもとにあらゆる自由が奪われていくことを心から憎悪していた。」


浅田彰氏は直近でも共謀罪反対の立場で、「人はいずれ死ぬが、法律は死なない。子や孫の代にこの法律がどうつかわれるか」と発言をしている。


この物語は日本がポツダム宣言を受諾した時、千島列島の先端の島「占守島」に
23000人もの無傷の兵隊と戦車戦力が存在したことを記す。その島に終戦直近に徴兵された老兵とあとひと月で徴兵年齢から外れる英語翻訳者と医専在学中の若い医者を中心に物語は進む。


それぞれの家族やそれを囲む人たちの思いやその時の生活が綴られる。

大本営の発表とは裏腹に沖縄戦敗戦や各地での空爆から人々は日本が負けると思っていたがそれを声に出すことはできなかった

東京も空襲によって焼野原になり人々は少ない食料と住む場所を求める日々が続く、疎開先で家族の死を知る子供たちも多くいた。常に空腹でやせ細っていった

何のための戦争か、誰もが疑問に思っていたがお国のためだと鼓舞する人に従わざるを得なかった。国民の大半の気持ちは一億総玉砕に向かっていた。国のため、天皇のために死ぬことを覚悟していたのだ。国とは何か、天皇とは何か、そうした考えさえ持つことを国は許さない、命令は絶対だった。


暗い世の中でも人々は生きることに希望を抱いていた。

やがて広島、長崎に原爆が投下されソ連が宣戦布告し、日本はポツダム宣言を受諾した。


占守島の兵たちも玉音放送の内容が伝達され、武装解除の準備に入った、英語翻訳者の徴兵はその時やってくる米軍との折衝のためにあらかじめ派遣されたのだ。本人が知ったのはこの島に着任してからだ。参謀は敗戦の準備を半年前からしていたのだ。


その島で戦争が始まった、攻めてきたのはアメリカではなくカムチャッカにいたソ連軍だ。日本軍が戦力的に勝り死傷者はソ連軍を下回るが日本兵の多くが死に翻訳者もその中にいた。


やがてアメリカの仲裁が入り、日本兵はシベリアに抑留され過酷な労役が課され多くの人がそこでも死んでいった


日本から言えば明らかにソ連の違反行為だが、北方領土をソ連は勝ちとり、彼らの言い分では攻撃をしかけたのは日本だと主張して今に至る。


本には千島列島の歴史が詳しく書かれている。


この島にはアイヌに近いひとたちが住んでいた、クリルアイヌという人だ。アイヌ語に近い言葉を持つ、千島列島に
500人が居て、占守島に90人いた。この人たちはロシアのひとたちとも日本人とも戦わず、友好的に交流があったが明治政府によって択捉に強制移住させられ、樺太のアイヌやウィルタや二ブヒといった人たちと同じ運命を歩む。


国がからんで民族的基盤を失う歴史から我々は国家とは何かを学ぶ必要がある。


負けると分かっていた戦争、国のために多くの命を失った戦争、戦争が終わったのに死んでいった人たち。昔から居たのにいなかった人たちで住む所が無くなってしまった人たち。


この本の題名「終わらざる夏」は今も続いている。

軍事費に5兆円も費やしていいのか、日本が平和国家を築いたのは戦争という数多の犠牲から学んだ結果だ。世の中が変わってきていると戦前に戻る思想を憲法に組み込むという流れになってはならない。国のために徴兵制まで思考する国にしてはならない。


不可侵条約を破棄して戦後まで戦争を仕掛け、違法な労働でシベリア抑留させたソ連の行為や庶民まで大量殺戮した東京大空襲、そして原獏投下したアメリカの行為も不当である


被害者になった日本国民の声は平和国家を目指す一つの道を示している。
同時に日本人として心しなければならないのは、加害者としての深い反省だ。


侵略戦争を肯定し慰安婦問題を蒸し返す愚は戦前の誤った方向への道筋だ。

被害者としての気持ちは加害者としての気持ちと併せ持つことによって平和への強い意志となって現れる。


安倍政権になってから、日本は近隣諸国からの信用をどんどん失っている。加害者を認める勇気がないから力に頼ることを目論むのだ。


終わらざる夏を終わらせることができるかは国民一人一人の平和を希求する心にかかっている。


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by willfiji | 2017-06-09 17:03 | 読書 | Comments(0)