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パピヨンパパの思うこと
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「マチネの終わりに」(読書no.237)

マチネの終わりに」 (著・平野敬一郎) 

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大人の恋愛小説である、芥川賞作家だけに言葉の連なりを洞察する簡単ではない文章が続く

蒔野聡志は天才と言われたクラシックギター演奏者、小峰洋子はパリに本部がある通信社に籍を置く美しいジャーナリスト。ふたりは蒔野のコンサートで出会いお互いに惹かれるようになる。洋子にはアメリカ人の婚約者がいた。


ヴェニスに死す症候群とはこの小説が生んだ言葉だ。

「中年になると突然現実社会への適合に嫌気がさして本来の自分へ立ち返るべく破壊的な行動にでること」の意味がある。


洋子は
40歳のその時イラクの特派員。フセイン亡き後の混迷期だ。テロに巻き込まれ危機一髪で助かったが洋子はPTSDに悩む。


世界の政治状況を反映させてこの恋愛小説が展開する。ジャーナリストや芸術家は一流であればあるほど権力に対してその術で物申す。服従を嫌い自由を求めるからだ


恋愛物語の中で著者は洋子を通して難民問題を描き戦争は問題解決にならないことを示していく。


他にも聖書の中にあるマルタとマリアの話が興味深い。

イエスの姉妹である二人がイエスを迎え、姉のマルタは食事の用意や部屋の準備に甲斐甲斐しく働くが妹のマリアは何もしないでイエスの話を聞くばかりだ。マルタはイエスにマリアは何もしないと訴えるがイエスはマリアこそ私のために話を聞いてくれると退ける。


大人の恋愛はマルタかマリアか、

ボクも含めて多くの人はマリアを求めながらマルタといることが幸せだと感じているのだろう。
人は両面を持つ存在でそれを際立させるのが小説だと思えばよいのかも知れない。


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# by willfiji | 2017-11-06 11:37 | 読書 | Comments(0)

「タオ・老子」(読書no.236)

「タオ・老子」 (著・加島祥造) 


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世の中が選挙モードになってボクはたまらく言を発してしまっている。


あまりにも理不尽なことが行われ、人の心が分断され、日本が人の道を外れた世界に導かれていくことがどうしても腹立たしいのだ。

自分の中に自分が否定する戦闘モードがひろがる。相手の立場に立つことを訴えながら立場に立てない人の立場になれない自分がいる。


この矛盾を先人はどう考えただろうか。


無為自然の心境になるとの教えが心に届く。


今から
2500年前の紀元前500年、人の道(タオ)を教えた「老子」の世界をひも解いた。


なぜ反戦や平和という普遍の真理を受け入れない人がいるのか、ボクには思い当たることがある。ボクだって風紀委員は一番やりたくなかったし、面倒な規則は嫌いだ。

正しいことを口にしていい人ぶる人に反発もする。平和をボクが発する時そのリスクがあることも知っている。
でも今言わなければならないほどに世界は岐路に立っている。


二つの大きな戦争を経て国連が創設された。戦いではなく立場が違っても対話をし続けるという場だ。その傘下にユネスコがある。アメリカが今脱退した。言うことが通らないから脱退の姿勢は大戦の反省が薄らいできた証でもある。

世界に戦争してもいいという風潮が起こっている。多くのアメリカ国民の思いは平和を求めるがトランプ政権のコアな支持者である差別主義者の意向がユネスコ脱退に繋がってしまった。

日本も同じ環境下にある、それを黙って見ていられないが、老子の言葉を胸におくことを心がけたいと思う。


老子が教えを説いたのは春秋戦国時代


「弓をいっぱいにひきしぼったたらあとは放つばかりだ。盃に酒をいっぱいついだらあとはこぼれるばかりだ。うんと鋭く研いだ刃物は長持ちしない。なにかもぎりぎりまでやらないで自分のやるべきことが終わったらさっさとリタイアする方いいんだ。それが天の道に沿うことなんだ」


「戦うことなんて本当に自分を守る時だけでいい。暴力に反抗して守る時だけでいい。
だからタオの人は自分を守る力を誇らない。何かに勝っても奢らない。よく見てごらん、暴力や力ずくでしたことなんて長続きしない


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# by willfiji | 2017-10-17 11:26 | 読書 | Comments(0)

「パナマの仕立屋」(読書no.235)

「パナマの仕立屋」 (著・ジョン・ル・カレ) 

難解なエンターテーメント小説だ。外国小説特有の言い回しがしばしページをめくる手が前にもどる。

パナマ運河をめぐるスパイ活動が描かれ、裏の政治の影響が語られる。

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パナマ運河は3日で200隻の船が行き交う。スエズ運河と並んで世界経済を左右する重要な運河だ。スエズがかつてそうであったようにパナマもアメリカの支配の下にあって、パナマ政府の動向によっては紛争の火種になる。


主人公はイギリス出身で仕立屋を営む。政財界の有名人が顧客だ。妻はアメリカ出身、パナマ運河国有化を推進する有力議員の下で働く。


支配される国に祖国が違う人たちの生い立ちがパナマ運河の支配権に対する考え方の違いを生む。一人一人のプロフィールを丁寧に記述して違いが争いを呼ぶ工程をみごとに浮き上がらせる。


国家という概念が生まれて国と国が戦う構図が生まれた。

何千万人という人たちが戦争で死んで、武力では何も解決しないことを知っても人々は戦争に向かう傾向がある。根本には相手の立場に立つことができないからだ

この本を読んでいる最中に日系イギリス人のカズオ・イシグロ氏のノーベル文学賞受賞があって氏のアーカイブが放送された。


学生たちに話す内容は氏の哲学そのもので特に
2つのことが胸を打った。


1つめは「小説はフィクションであるがその中に真実がかくされている」という事。


そして2つ目は歴史の事実について記憶の話だ。ナチス占領下のフランスにはナチスに協力する人たちが多くいた、レジスタンに加わる人を密告したり、ユダヤ人を差しだしたりした。戦争が終わって、そのことで暗い空気がフランス全土に漂った。誰が裏切り者か皆知っていたのだ。

そこでドゴール大統領は国民に呼びかけた、「しばらくの間みんなの記憶を変えよう」とそれは「すべての人がナチスに対して戦ったのだ」と。フランス人の心が解放された。しばらくとは、この国が本当に強くなった時までとした。


日本も記憶を変える必要があった、ドゴールのように意図的に決断する指導者はいなかったが、記憶を変えることは小説の中に真実をみつけることと深い所でつながる。


ただし、日本にはフランスとは違う加害者としての立場がある

自分の祖父や父親はアジア開放のために戦ったと思ってもいいが国の立場としては史実と向き合う必要がある。被害国の人たちのことを思いやる加害国としての責任がある。


記憶を変えるためのノンフィクションをフィクションにしてはならない。


小説が深く共感されるのは自己にある記憶を善悪ふくめて言葉に表してくれるからだ。


この本とカズオ・イシグロ氏が共振して歴史を曲げる人の思いまで知ることとなったのは大収穫だ。




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# by willfiji | 2017-10-13 16:58 | 読書 | Comments(0)

「求めない」(読書no.234)

「求めない」(著・加島祥造) 

このブログに書いているように、「受け入れる」と「求めない」がボクの心に今一番響いている言葉。

著者の詩が心地いい。

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「誤解しないで欲しい、『求めない』と言ったってどうしても人間は『求める存在』なのだ。


それを承知で『求めない』なんだ」とハードルが下がって、安心する、何かできそうな気がする。


求めない、すると いま持っているものがいきいきとしてくる

求めない、すると 心が静かになる 

求めない、すると 悲しみが消えていく 

求めない、すると 自分の心がどこへいきたいのか分かる

求めない、するとそれはとても珍しい心の状態だと気づいた。だって今まで求めないでいたことなんてなかったからだ。 求めないなんて気持ちになることなんてなかった、「いらない」とは言うかもしれない でもね、それは他にほしいものがある時に言うんだ、「それはいらない、けれど・・・」なんだ。


そうなれない自分に気づく。


更にハードルが下がる。


求めない、なんて言葉をつらねてあなたに聞いてもらうこ  とを私は求めている。たしかにその通りだけれどあなたが聞き捨てても不平を言わない。聞き入れられなくても不満を持たず悲しがらず怒らないようとする、そういう求めかただったら我慢してもらえるかな。


そして、納得の言葉がみつかる。


求める、求めない、この二色の糸を、自分の人生の模様に織り込めば、ライフはいいバランスになる


『受け入れる』と『求めない』それが「これから」のほうが「これまで」よりずっと短くなったボクの課題だ。


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# by willfiji | 2017-10-03 10:34 | 読書 | Comments(0)

「マドモアゼル」(読書no.233)

マドモアゼル」(著・島村匠) 

本はココ・シャネルを連想させた。ココは登場するが主役ではない。シャネルスーツが3代の母娘をつないで過去の知られざる物語だ。

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過去の戦争が3代の中でどう影響したか?

日本の戦争は中国侵略から始まった、ヨーロッパでもナチスが台頭し第二次世界大戦となった。

ドイツ、イタリアと3国同盟を結んだ時、フランス在住の日本の外交官の娘がこの本では祖母、主人公は孫にあたる。

ナチスドイツがフランスを占拠していた、祖母はドイツ人将校とに陥る。

祖母の父はドイツに日本が不可侵条約を結んだソ連はドイツと戦争状態にあるが日本はソ連と不可侵条約を結んでいてそれを破棄してまで戦う余裕がないことを伝える。ヒットラーは日本がそこまでできるとは思っていない。


父親はナチスの残虐性と勝てるわけない日本の戦争突入に反感を持っていたが体制に従わざるを得ない自分に忸怩たる思いを抱いていた。

祖母の恋人も同様にヒットラーの狂人性に耐え難いものと感じてはいたが逆らうことはできない状況だった。


祖母の娘である母とその娘がそれぞれの関係が普通の親子に比べて冷たいものであったことを過去を現地で調べることによって納得していく筋書きが面白い。


国と国が戦争するからと言ってすべての国民が同じ考えで動くわけではない。


日本でも戦争に反対した人、反対だけど従った人、賛成した人、積極的に賛成した人、
そして何もわからず死んで行った人たちもいる。

占領された国民は尚複雑でフランスでは暫定政府はナチスドイツに協力して同じ国民であるレジスタンス勢力を弾圧した。
日本が侵略した中国でも同じで国民政府は日本軍に協力した。


安倍政権になって、戦争がそんなに過去のものではないこと、そして戦争を
2度としないと誓ってできた様々なものが壊れていくような状況が生まれている。

世界でも第
2次世界大戦を経て作られた国連をはじめ様々な機構が各国のナショナリズムによって後戻りしていることは否めない。


国連でのトランプ大統領の発言、それを後押しする安倍首相発言は国連が対話のための会議場であることを忘れている言動だ。


ナチスドイツによるユダヤ人への残虐行為は国を持たない人たちへの差別意識がもとにある。ココ・シャネルはユダヤ人と同じように差別されたロマ人の血筋があるとも言われている。ロマ人はジプシーの人たちだ。


日本も差別意識は古くからあった。碑民、アイヌ、琉球、そして日清日露の戦いから朝鮮や台湾、中国の人たちがその対象になった。


戦争は相手国を憎しみの対象にする、嫌いだという感覚は初期のものだ。
権力者は差別をあおる、自らを最上級に置き側近を引き上げ階級を作る。不平が下へ向かう構造は権力集中に手っ取り早い。共産主義国でも理想を離れ独裁化していくのもこの構造があるからだ。

人間は戦争がバカげたことだといつも反省するが直ぐに忘れてしまう。忘れないために良識や歴史を知る見識が必要だがそれを怠る。


安倍首相の好戦的態度を支持する人はそのエセ勇ましさに共感を得るようだ。


ヒロシマ・ナガサキに行って悲惨さを見て欲しいと思う。ネット右翼の差別発言は卑劣で戦争もゲームのように思っている。命を持った大量の人間が犠牲になる姿を思い描く想像力が全くない

戦争は日本人であっても北朝鮮の人々であっても人間として非道な行為だ。その行為をちらつかせながら相手を挑発する愚かさをなぜ支持するのか?

戦争はそうした人がいるから無くならないのだ
。戦争になれば反戦は非国民と呼ばれ自国ファーストが愛国者としてもてはやされる。

戦争にならないために国民は賢明にならなければならない。人間の持つ好戦的姿勢を自ら断つ勇気が今こそ一人一人の国民に求められている。


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# by willfiji | 2017-09-28 17:49 | 読書 | Comments(0)