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カテゴリ:読書( 185 )


いま憲法は『時代遅れ』か

いま憲法は『時代遅れ』か」(著・樋口陽一)主権と人権のための弁明


今ほど憲法が問われたことはない。もし改憲のための国政選挙が行われたら、改憲は反対多数で平和憲法は守られると思うが、憲法
9条をオブラートに包み、2院政や教育無償化等の問題と共に提示されたらどのような結果になるか想像できない。

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おかしなことを言うトランプ氏や繰り返す戦争の反省で生まれたEUからイギリスが離脱する等をみると改憲に過半数を得る状況が日本にないと言えない。


何冊かの憲法についての本を読んだがこの本も憲法の本質を解く憲法学者の書だ。


著者は憲法論の基本が「主権と人権論」にあるとする。権力から国民が身を守るために憲法がある。

国のために戦うという姿勢が問題となった集団的自衛権容認を違憲だと多くの憲法学者が示したのはこのことだ。


今話題の森友学園の教育勅語問題も書かれている主語が皇族になるから憲法違反で教育してはならないことになったのだ。

親を大事にするといった福徳を重んじる部分に共鳴して何が悪いという輩を無知性とするのは福徳の受け手が天皇の国家であって天皇がいままでやってきた世界を続けることこそ平和なのだという皇国史観そのものが間違っているから無知性と言うのだ。


ボクは憲法
9条は守るべき日本の基本だと思っている。
それを軸足にして政治を行うべきであって日本の誇りだとも思うのだが改憲の人たちの中には無知と言って切り捨てることのできない人もいる。


考えの浅い人から深い人までいるその考えも知って、この本が何を導いてくれるのかと考えながら読んだ。


浅い所では憲法はアメリカによって押し付けられたというものがある、自主憲法論だ。


海外からの移入だから日本独自の憲法をつくるべきという考えはその主張者が復活を願う明治憲法もヨーロッパの立憲主義を取り入れ日本の不平等条約からの開放を願ったもので移入した憲法だと一蹴する。
もちろん聖徳太子の
17条憲法はインド・中国仏教文化をその源にしていて、開明的であったからできたものだということに異論はないだろう。


他にも日本が敗戦によってポツダム宣言を受諾し敗戦責任を担わされた憲法が日本国憲法だという主張がある。
それは全く違っていると著者の答えは明快だ、


ポツダム宣言は合意で受諾されたもので日本人が持っていた民主主義の回復が記されている、日本は明治維新後近代思想を受け入れて民主主義が育っていた。大正デモクラシーや男性だけであっても普通選挙実施や政党政治等だ。

民主主義国家を天皇が統帥する軍事国家に作り変えたのだからその誤った道を正すためにポツダム宣言はあるとわかりやすく答えている。


共謀罪が国会を通ろうとしている。これは治安維持法という自由な発言を封じた戦前最大の悪法になり得るものだ。

統制は反対を抑える手段でもあって政権が長期になればこんな法律が出てくる。


自由を守るために憲法があるのだが、自由ということを考えると法律で縛ることに矛盾があるのでないかとジレンマに陥る。


著者は「自由の敵には自由を与えてはならない」という。共謀罪は自由の敵だ。


人間には『人類普遍原理』がある。

憲法を多くの国が変えているとの主張にアメリカの独立宣言やフランスの自由・平等・博愛といった硬性憲法があると指摘している。


同じ敗戦国であるドイツには自由で「民主的な基本秩序に手を触れる変更はゆるされない」という大きな縛りがありアウシュビッツは無かったとうのは認められない。


平和憲法こそ日本の理性と寛容の精神が生かされたものだ。時代が抑圧と排除へ向かうことを止めなくてならない。
いかなる国との戦争も放棄した憲法
9条は人類普遍原理そのもので変えてはならない硬性憲法だ。



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by willfiji | 2017-03-22 10:13 | 読書 | Comments(0)

終わった人

終わった人」(著・内館牧子)

話題のこの書は多くの「終わった人」が持つ共通の思いを描いている。

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主人公田代は東大法学部卒という学歴を持ち一流企業に就職しサラリーマン世界の階段を駆け上った、絵のようなエリートの道を歩む。ボクらの多くがそうであったように企業戦士として競争社会に挑み会社に貢献することを生き甲斐としてしゃにむに働く


役員を目の前に田代は主要コースから外され子会社に異動となる。不服ではあったが子会社の役員となりそこでも懸命に働く。この物語は田代が専務取締役を最後に退職者として第2の人生を歩む所から始まる。


散り際千金」を心した彼は延長雇用して会社にしがみつく姿を許さなかった。彼の誇りは退職しても続く、田代とボクとは同じことと違うことがあると感じながら読み進む。


「思い出と戦っても勝てねぇんだ!」「思い出は時がたつほど美化され力をもつ」。
いい表現だが退職すると現役時代の仲間たちとの飲み会での会話は時がたてばたつほど美化されていく、ボクは罪のない会話だと思う。一生懸命働いたことを語り合える仲間がいることはいいことだ。


退職後田代はスポーツジムへ通うがボクと違うのはそこで出会う人たちをジジババの世界だと壁を作って融和しない生き方だ。ジムには田代のような男たちがいる。きっと会社ではそれなりの地位を持っていたのだと思うがひたすらマシンに挑んで笑顔さえもったいないと運動に励む人たちだ。

ボクはジムで顔を合わせた人とは挨拶をかわし、今では顔見知りの人たちが沢山いて、地元でたまに飲む仲間もできた。

女の人たちの多くはおしゃべりに夢中で面倒なこともあるがそんな時は放って運動すればいいのだ。会社と違って上下関係がないから生身の人間が試される。


田代はジムで会った若き経営者に頼まれ会社経営に携わることになりのめり込んでいく、ボクも退職後一年の間を置いて友人の会社の顧問になったから、ビジネスは退職してからも未練があるものだと理解できる。

田代はビジネス一直線の人、それを貫く、
そして・・・・・。


 ボクは同期の中でも働いた方だと自負するが、絶えず自分の中にもう一人の自分を置いていた、マルクスのいう疎外されない自分を作ってきた。
「朝に狩猟を昼に魚を夕べに家畜を夕食後に批評を」という言葉を旨としていた。多様な自分でありたいと限られた時間を趣味と仕事に割り付けた。


 ボクが思う最も自分が自分でなくなったのは最後の職位であった経営トップの時だった。トップの位置についたことは美化すべき思い出かもしれないがボクにとっては貴重だけれど一番楽しくない時だった。


「人生なんて先々前持って考えて手をうってもその通りいかない」、内館牧子氏とは面識はないがボクの大学の先輩だ。「感性の開放」という建学の精神が共通して生きているように思う。


終わった人が心するのは「衰え弱くなることを受け止める品格をもつ」ことだと著者は言う。

品格が問われるのは日本社会と同じ命題だ、自分らしく受け止めて生きて行こうと思う。


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by willfiji | 2017-03-16 17:07 | 読書 | Comments(0)

キャスターという仕事

キャスターという仕事」(著・国谷裕子)
言葉の力を信じて。

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著者が画面から消えて、もう1年にもなる。
彼女を辞めさせたNHK会長も代わったがまだ安倍首相は高い支持率に支えられている。


帰国子女の著者は英語力が買われて国際ニュースを担当し、BSからゴールデンタイムを担うニュースキャスターに成長した。この番組はなんと
23年間3784回と他に類を見ないニュース番組となった。この本はニュースキャスターの役割を余す所なく伝えている。


キャスターはアメリカやイギリスではアンカーと言われる、人々の偏見を取り除き深く考えてもらうためにキャスターが機能するのだ。


人々が無知であることは危険だと指摘する。

無知は恐怖をうみ、恐怖は怒りにかわる。やがて怒りは殺意につながるからだ。


著者が辞めさせられたのは管官房長官とのインタビューと沖縄の基地問題のニュースが
きっかけだった。
時代が大きく変化する中で物事を伝えることが難しくなってきたと著者は長年のキャリアを踏まえて発言する。


著者はキャスターとして問う力を発揮して国民の立場に立って安保法制の矛盾を問い。沖縄の人の立場に立って辺野古移設の問題を正したのに過ぎない。現政権は国民が無知であることを願っている


多様化する社会には多様化する意見がある。合意形成が難しくなっているからこそ情報のプラットホームを提供する報道番組が一層必要だと強調する。


今、森友学園の問題が報道を賑わしているがこれも最初は大手マスコミでは報道されないものだった。
報道の現状に危機感をいだいているジャーナリストのツイッターによって小さな輪が次第に広がりマスコミ全社が主要ニュースとして取り上げられるに至った。


安倍首相個人の関係が問われているから政府は火消しに懸命だ。

国民の大半が必要だとする真実解明のための参考人招致をしようとしない。このまま幕引きになればそれこそ数の力に頼ったものになる。国民の不信は更に募るがやがて忘れられるとたかをくくっているように思う。


北朝鮮がミサイルは日本の米軍施設を狙う準備のものだと言明した。

無知ならばこれに対抗しようと意気込んで更にネズミを追い込む。窮鼠が基地にミサイルが撃ち込めば対抗してミサイルを撃ち込む、その時相手が狙うのは全国の原発だ。

そんな悪夢が胸をよぎる。


日本人の大半が被爆死滅した時、原発再稼働と日米同盟強化を図った人を日本人は裁けるだろうか?無知であったと東アジアの大半が死の世界になった時嘆いても遅いというのは考えすぎであろうか?


フェイク(偽)ニュース。ポスト・トゥールース(事実無根)オルナティブ・ファクト(もう一つの事実)など無知を呼ぶ言葉が誕生している。無知が世界に充満しているからだ

これらの言葉は都合のいい解釈で人を引き付ける術だ。進化論を信じない人と同じように過去の戦争を否定しない人が簡単に取り込まれていく。

無知というこの現状をどう変えたらいいのか。「既存の偏見を認めることは偏見を取り除くためにより深く考えることよりもはるかに楽だ」との著者の言葉に励まされてボクはブログを綴る。


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by willfiji | 2017-03-09 18:45 | 読書 | Comments(0)

憲法という希望

憲法という希望」(著・木村草太。対談・国谷裕子)


『憲法は私たち一人ひとりのよりよい生のために人権を守り、権力をコントロールしている』とト書きに著者・木村草太は憲法学者としてのポリシーを示す


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著者は政権におもねらない発言する人だが左派とかリベラルでもない。そんな所に共感する。著者の憲法学者としての見解は法が持つ堅苦しさを排除している点もうれしい。


ボクの安倍政権不支持が鮮明になったのは安保法制成立が主因だ。マッカーサーが警察予備隊を導入した経緯は前回書いたが、その後自衛隊ができて海外派兵まで実行されているが憲法解釈をどんなに拡大してもそこまでで安保法制は明らかに違憲だと思ったからだ。


安保法制は著者を初め多くの憲法学者によって違憲であることは明白だが著者は安保法制によって憲法とは何かを考える人たちが増えたことを評価している。

またこの本の後編に対談しているNHK元キャスターの国谷さんも、安保法制以後憲法を守ろうとする人が増えていると指摘していることは心強い。


現憲法に修正点はあるが今変更する事は危険だと思う。改憲が
9条の戦争放棄に手が及ぶことを恐れるからだ。

高校の無償化や参議院の在り方と一緒に
9条を変えようとする意図が現政権にある時、残念だがそれを引き換えにするわけにはいかなのだ。


憲法を学べば学ぶほどこの憲法が人類にとって理想郷を作るものだと思うようになる。


著者は憲法が過去の過ちを繰り返さないためにあると示す、国家の3大失敗とは、1・無謀な戦争。2・人権侵害。3・権力の独裁だ。


憲法は尊厳の担い手となった個人が公権力担当者に守らせるためのものである。


日本国憲法は戦争という大きな犠牲を払ってできた世界に誇るべきものだ。

どんなに大変であっても大事なことを決定する時には、多様な意見に耳を傾けながらより良い解決策を見つけて行こうとするのが民主主義の基本的理念であって日本国憲法はそれを貫いている。


著者は辺野古問題について憲法をわかりやすく説明する。

安倍政権では『安全保障に関することはすべて内閣が勝手に決めていいことになる』と政府のやり方の違法性を指摘する。


憲法は重要な問題に関しては国会が法を作り法案成立後地方の地自治に影響を及ぼす時にはその地域の住民投票によっての賛同が必要になると示しているというものだ。その憲法の手順を踏まない政権を批判しているのだ。


違憲であっても安保法制が必要だという人の中に中国等を仮想敵国にする考え方があることが問題だと思う。今話題の森友学園の思想と同じだ。
中国を敵視するのは戦前アメリカを敵視していたことや北朝鮮や中国・韓国の反日教育と同じでそんな考えに強い疑問を持つ

政治は行き場がなければ他国に敵を作って矛盾のはけ口にする。中国が尖閣に侵犯する挑発になぜ乗るのか知見がないとしか思えない。


この本の巻末に憲法の全文が記載されている。もう一度読み直して新な発見をした。


『平和を愛する諸国民の公正と審議に信頼して我らの安全と生存を保持しようと決意した。我らは何れの国家も自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって・・・・』
という部分だ。

他国の人を尊重することが日本人も尊重されることになるという強い宣言だ。
異なる価値観が共存する全ての人の権利を守り、権力の独裁を許さない理念が日本国憲法にはある。
アメリカンファーストというトランプ氏の主張は日本国憲法でいえば違法だ。


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by willfiji | 2017-03-03 14:05 | 読書 | Comments(0)

マッカーサーの二千日

マッカーサーの二千日」(著・袖井林二郎)
ダグラス・マッカーサーが日本に駐留した時は既に65歳。

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天皇の上に君臨する戦後の日本の道筋を作る2千日の将軍だった。

軍の司令官であった彼は米国の戦争の大儀である日本に民主主義を植え付けると同時に中ソによる共産主義的国家の進展を抑えるための防波堤として日本を築く。


著者は言う「日本が太平洋戦争で中国・アジアで
2千万の人々を殺し、その結果として敗戦と占領があったことを、『俺は生まれていなかったから知らない』ようでは中国・アジアの人々と付き合っていくことは不可能である。本書を読んで欲しいのはそのためである。」と。


本書の重要な部分は平和憲法制定にある。改憲論者がGHQに押しつけられた憲法として日本人による自主憲法が必要という言い方をするが憲法の精神は普遍であって創案したのがどこの人だったかは問題にはならない。

特に平和憲法は日本の国民が軍国主義を経験して二度とあの時代にもどってはならないという意志を受けて出来上がったものだ。


米国と開明的な日本人が太平洋戦争を反省し
2度と戦争を起こさないために新憲法を作りこれをマッカーサーと時の幣原首相が共に認めたという憲法だということをしっかり認識しなければならない。


マッカーサーは天皇を利用して平和国家を作り上げることにした。だから日本国民は納得したのだ。

平和国家日本を作ることが日本の国民が納得する理想の国家だったのだ。


ボクはこの時の理想を見失ってはならないと思う。幣原首相とマッカーサーはこれが実現したらこれこそ人類が築いた最高の法典になると歓喜した。


鉄は熱いうちに打て、戦争はしてはならないという機運のもと第
2次世界大戦直後に国際連合も人類の理想のもとで出来上がった。


しかしマッカーサーの就任の
2000日の間に中ソという新たな敵が生まれ、日本はマッカーサーのもう一方の顔である軍司令官という民主主義の矛盾を武力で解決するタカ的本質に引きずられて行く。


朝鮮半島への米軍進攻の司令官となったマッカーサーは手薄になった日本を守るために
警察予備隊を創設する、憲法9条に対してこの時出来たのが個別自衛権という考え方だ。
この考え方には賛否があるがそれが集団的自衛権となると違憲であることは明らかだ。


歴史の教訓を学ぼうとしない者に対して歴史はそれを繰り返すことによって復讐する。


マッカーサーは朝鮮戦争の更なる拡大を主張してトルーマン大統領に更迭された


日本はその後も平和憲法が支えとなって世界に類をみない経済成長を果たした。
平和憲法と同じように農地解放や財閥解体などの自由主義経済発展の基盤がマッカーサーによって作られたことも重要な視点だ。

軍備拡張を抑えた民主政治が続行された結果日本は豊な国になったのだ。

今最も危険なのは再び軍事強化の道を歩む世相があることだ。経済が世の中を豊かにするが矛盾も出てくるそれを武力で解決してはならない。

米国が世界の警察から手を引く時、自主独立はそれに肩代わりする軍事力を持つことではない。


日本の道は過去の歴史から学び戦後直後の理想を追求することだ。安倍政権は集団的自衛権に見られるように日米軍事同盟の強化に走り中国や北朝鮮に対して対立する構造を作り上げているように思える

マッカーサーのひとつの顔は日本を真の平和国家にすることであった。
2度と戦争ができない国にすることであった。それでいいのではないか。


マッカーサーが朝鮮戦争の拡大を目論んだ時、米国の正義は不拡大の道を選び民主主義の盟主を保った。

しかしその後のベトナム戦争やアフガニスタン・イラク戦争という決して正義ではない戦争をしかけ今の不安定な世界を作ってしまった。


対米従属をやめ国際社会にそして中国や北朝鮮に対しても日本が平和憲法による日本の立場を明確にすることが日本の自主独立という姿ではないだろうか。


一国民の生計が他国の慈悲に頼っている限り政治的自由はあり得ないとマッカーサーの
2千日を著者は結ぶ。


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by willfiji | 2017-02-25 18:25 | 読書 | Comments(0)

殺人犯はそこにいる

殺人犯はそこにいる」(著・清水 潔)
 隠蔽された北関東連続幼女殺人事件。


警察は菅谷利和さんという男性を「誘拐殺人犯」として逮捕し、
17年の間刑務所に閉じ込めた。もっとおそろしいことに時効によって真犯人は不逮捕のライセンスを得る。

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冤罪はあってはならないが真実が明かされることなく刑に服した人は数えきれないほどあるだろう。

それ以上に許されないのはこの本のような検察のメンツをつぶさないための冤罪が存在するということだ。

検察で扱った足利事件は北関東連続幼女殺人事件とするのが真実だと著者は訴える。
足利事件の犯人とされた菅谷さんは足利事件で無期懲役の判決を受けて、その前後に連続して起こった幼女殺人事件では証拠不十分で起訴されなかった。


菅谷さんは足利事件の犯人とされ、世間ではその他の事件にも関与したのではないかとグレーのまま服役した。
著者の清水氏は日本テレビの記者。

この事件を追う中で、警察や検察や裁判所までが自ら決めてしまった決定を改めることなく隠蔽の上乗りを続け組織防衛に走る権力の横暴に直面する。警察でもない清水氏は記者として取材でつかんだ事実を報じるしかないという信念のもとで徹底的に現地調査しついに真犯人を突き詰める。

しかしその真犯人は逮捕されることもなく今も一般人の中で暮す。

この本は実名こそ出さないが、殺された幼女たちの声に代わって事実を訴える震撼の書と言っても過言ではない。


何故冤罪が起こるのか?犯人を捕まえると賞が与えられる
という一面がある。未決事件は恥とされその警察や検察の意地をかけた戦いになる。


卑近な例だが隠れていた白バイにボクも交通違反キップを切られた経験を持つ。バイクの警官は違反した場所はボクのように他県からきた人には解りにくいのだとうそぶいた。
ボクは冤罪ではなかったが反省するより運の悪さを悔やんだ


この事件は権威ある科捜研のDNA検査が誤りの根本だと指摘する。DNA検査が菅原さんの有罪を決定づけた。科学は嘘をつかないと動かぬ証拠となった。


無罪を主張する菅原さんは何度もDNAの再検査を要求するが認められない。証拠が年月によって劣化したその後の再検査でやっとDNA不一致が認められたが検察は最後まで当時の検査に間違いはなかったと主張する。

法廷に出される証拠はあくまで容疑者を有罪にする証拠だけだ。


ボクは清水氏にジャーナリストとしての誇りを見た。

清水氏及びそれを取り巻く局の人たちは権力に屈しない気概を持っている。


それが日本テレビということに驚いた。政治記者と事件記者との違いがあるのだろうか?日本テレビの今の報道はフジテレビと同様に政権にすり寄りすぎる傾向がある。

保守的な新聞社がバックにあるからだが最近はここまでやるかと思うくらい政権を持ちあげる


昔見ていたフジテレビの
2020は保守的ではあったが批判すべきことはしっかりしていた。日本テレ系列の読売テレビの辛坊氏の番組も良心的な番組だったがその変貌ぶりには首をかしげるばかりである。


事件の真犯人はもう捕まることがない。捕まれば科捜研によって死刑台に送られた人たちの証拠そのものが疑われるからだ。

この本は権力の誤りを臆する事なく広く知らしめる使命を持って出版され多くのジャーナリストが称賛している。
政治部報道記者に噛みしめてもらいたい重さがある。


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by willfiji | 2017-02-17 18:19 | 読書 | Comments(0)

岩波講座・現代

岩波講座・現代
(編集委員・大澤真幸他)現代の現代性―何が終わり何が始まったか。


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時代を担う学者たちが明らかに違ってきた現代を転換の時として論説する。


民主主義を超える民主主義に対して、半世紀前に出版された旧作はその時代を深く考察したものだったが、本書も現代を明確に捉えこれから行くべき道を示唆している良書である。


流行りのSNSは多くの人に様々な情報を与え瞬時に世界のことを知らせるが、それが現代の病を作っている側面がある。SNSは簡単に知識が手に入り、その人の価値観で情報を得ることができる。人々は活字から離れゲーム感覚で思想遊びをするようになってしまった。

そんな中、人を中傷する発言やヘイトが蔓延する。特にネト右と呼ばれる人たちは自分のうっ憤をはらすように、偏向的だ。なぜこんな世界になってしまったのか?


今の社会現象はおかしなことになっているとこの本は知を磨くことが必要だと訴える。


アリストテレスは人間を政治的動物と定義した。生きるために人間は生まれてきたが「善く生きるために」生まれてきたのが他の動物とは違うとしたのだ。

そして資本主義の原点となったアダムスミスは「市民社会は自分の利益だけを意図している集団だが競争にまかせれば見えざる手が悪を駆逐し善行が利益を生むことになるとした。


善とは正義であってその概念は「自分と他者をとの相互性、反転可能性である」ことは言うまでもない。正義とは相手から見ても同じ正しい生き方だ。

最近おかしくなったのはこの善=正義の考え方をしなくなったからだ。


トランプ氏のアメリカファースト、には反転可能性はない。アメリカさえよければという立場に善はない。

人気の高い小池都知事も都民ファーストを口にする、今までの悪弊と戦うことは大いに評価すべきだが、都民ファーストという言葉が使われたのは韓国人学校の用地を巡って保育園を作れとの主張から出たものだが、フランス人学校は認めて韓国人は認めない姿勢があることにボクは違和感を覚える。
ついでに輝けなにがしの議員のその時の言動は差別主義者的であって改革の志からは程遠いと感じたものだ。

更に小池氏が都民ファーストと言いながらカジノ誘致に賛成な点を見るに、都民ファーストという都民とは

その出処に利己的なものを見ざるを得ないのだ。


哲学なんてくそくらえ」シェークスピアがロミオに言わせた言葉だ、哲学ではジュリエットを創れないとロメオが嘆いた。これが「有効性」ということだ。


トランプは最たるものだが、安倍政権も小池都知事もこの有効性を旗印に支持を得ている。著者たちは有効性が世界を支配しているが有効性の上にあるものが新しい世界を作り出すとしている。


安倍首相がトランプ大統領と信頼度を増した関係を創ろうと懸命だが有効性が価値観の者同士だから、信頼関係の重みを感じない、相互理解はいつでも裏切られる性格をもつものになると想像できる。


アメリカ戦略指導部は表明する、「もしもアメリカ合衆国の重要な利益が攻撃されたら合理性を失って復讐に出るというのが国民的気質である」と、あの言論の自由を保証し民衆主義を先導したアメリカの姿はもうない。


トランプ氏は日本に軍事力強化を求め、日本も自立というシナリオで軍事力増強の道を歩む、このままでは中国に尖閣を取られ沖縄だって危ない、北朝鮮脅威にどう対抗するのか?と現政権は国民を揺さぶる。自衛隊が軍隊になることに国民が賛同するような流れがある。


戦争直後の反省が薄れていく中で抑止論が軍備拡大を促している。

 
今からの戦争は抑止論では収まらない戦争であることを誰でもわかっているが解がないからそこに留まってしまう

中国と北朝鮮を脅威と感じるならなぜもっと会話の道を築こうとしないのか?

安倍首相はトランプ大統領との会談にあれほどの意欲を持つなら何故隣国と話し合うことに同じくらいの熱意を示さないのか、北朝鮮は難しいことがあるだろうが中国なら話し合いの余地は沢山あると思う。内弁慶だと思う

対米従属は自主憲法をめざす安倍政権にとって矛盾ではないのだろうか?日本としてのプライドはどこにあるのだろうか? 

ベトナム戦争以後アメリカは何度も誤った戦争をしている。日本の立ち位置をしっかり持ち全ての国と友好な関係を築くことが政治家の使命だ。


このままではいけないと筆者たちは指摘する。その声はなかなか日本国民に届かないのではないかと懸念がよぎる今日この頃である。


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by willfiji | 2017-02-07 11:44 | 読書 | Comments(0)

いま日本を考えるということ

いま日本を考えるということ」(山本理顕・大澤真幸・木村草太)

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集団的自衛権容認の法案に対して多数の憲法学者が違憲との立場を表明した。

木村草太はその中の若い憲法学者だ。最近マスコミにもてはやされるのは、政府の意向に沿ったコメントを発信する人たちだが、木村氏の発言は論理的で歯切れがいい。

彼は安倍政権の問題法案に対してその違法性を語るが反体制の人ではない。


山本理顕は建築家で政治的立場にはない。彼の主張は彼の建築に対しての価値観を示す、
仕事をする意味を考えさせてくれる。住宅構造が社会を変化させてきたとし、作り出される社会を考える。ギリシャアのポリスの住居から現代日本の住宅公団が作った住居まで、個人と家族と公がどうかかわりあったか?

地域社会の崩壊がなぜ起こっているのかを住空間を通して解析し彼が考えるこれからの道を示唆する。


大澤真幸は気鋭の社会学者、内向きになる世界やナショナリズムの台頭の背景を語る。


何故社会がこうなったのか?ボクが日ごろ考えていることに一つの答えをだしてくれる。


人間は夢から逃げてより浅い現実の方へ覚醒し妥協した」というものだ。


この本のテーマである「何故安倍政権は支持されているのか?」という疑問に答える。

善をおこなうこともなくカリスマ性があるといえない人がなぜ支持率が高いのか?

カジノや共謀罪や年金法案に対して多数の人が納得していないし反対しているのに政権を支持する人が多いという不思議な現象がある。そんな日本人たちに再考を促す。


面白い例をあげる。憲法
9条に対して敗戦の一種の懲罰と受けているというものだ。

戦争放棄は誰が考えても理想の社会だが懲罰的にそれを受けるとは、髪を染めてはならないとかスカートの丈が決められ、喫茶店に入ることを禁じている校則のように思うことだ。
校則を破りたいと思ったり破った人多いと思う。ボクも校則はうっとおしいと思っていた。

平和憲法を守ることはうっとおしいと思うことが改憲で、そこが右翼の窓口だという。

日本は中国脅威を打ち出して軍事費を増やしているが中国とは少し前までは仲がよかった、ボクの学生時代は嫌いという人は5%、今は嫌中が過半を占める。

なぜか?

それは完全に差があった友達が自分と同じかある部分において勝ってきたからだ。

日本人が余裕と自信を失い嫌中になったのだ。

友だちならそんなことで嫉妬するのはいやなやつだが国のトップがその傾向を強めればなびく人は多い。ちょい悪は正論を吐く人より人気があるのだ。


それでいいのだろうか?そうならないための教育が必要だ。

左翼やリベラルは悪いくせがある。正論を突き詰めるために許容範囲が狭めてしまう。結局割れて小さくなる。


一方、自公的なるもののしたたかさはいつも多数に寄り添うことにある。いい加減だから自分のためになるとしたら誰とでも手を組む。リアリスト集団だ、ボクは伝統を守る保守と言って欲しくはない。


このいいかげんさを著者はアイロニカルと表現する。「なんちゃって」という感覚だ

このアイロニカルがトランプ現象を生んだ、阿部政権の支持率にもつながる。


戦後すぐに出来た日本国憲法や国際連合は直後の回心の中から生まれた。それが維持できたら人類は永久平和を手に入れることができた。

回心の心は次第に消えていく「なかったことにしよう」というものだ。

歴史は真実を語っている、回心を取り戻そうという趣旨がこの本にはみなぎっている。


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by willfiji | 2017-01-31 11:17 | 読書 | Comments(0)

南朝研究の最前線.もうひとりの天皇

南朝研究の最前線」(編・呉座勇一)
もうひとりの天皇」(著・小野寺直)

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今上天皇の生前退位の問題が浮上してから、天皇について考える中、もう一度確かめたかったのは南北朝のこと。


今上天皇は北朝の流れをくむ、鎌倉幕府を滅ぼした後醍醐天皇は南朝の人、日本は南朝と北朝の天皇が交代で皇位を継いできた。


天皇は神様の子孫だと今では誰も信じないけれど、維新政府ができてから天皇は神格化され、あら人神のもとでは「カミカゼ」が吹くと無謀な戦争に突入した歴史がある


本の一冊は研究者の書で客観的な史実に基づいたもので、もう一冊は南朝天皇の子孫という人の本だ。

その中で注目されるのは桂内閣によって南朝が正統な天皇であるとされて、明治天皇もそれを認めたというところだ。


今上天皇の生前退位について安倍政権は判断を有識者に委ねた。人選が偏っているのはこの政権の常とう手段、生前退位はこの天皇に限るという特別法で扱うように持っていった。

今上天皇の意向は皇室典範を変えて欲しいというものだったが、それは無視されたようだ。安倍首相の仲間は神道国家観を持つが今上天皇との親和性がない。それはオバマ元大統領ややメルケル首相が安倍首相と親和性に乏しいのと同じ理由による。いわゆる理想の欠如である。

今上天皇は日本が民主国家になるように育てられた、平和についての造けいが深い。ボクは天皇に対しては否定的だったが、今上天皇の行動を長年見る中で今上天皇を敬愛するようになった。


改憲をめざす安倍政権にとって、平和憲法を擁護する今上天皇は都合が悪いのだ。それはちょうど南朝を正統と認めながら立憲君主として北朝の天皇を政体天皇として祀り上げた明治政府の立場と同じだ


南北朝の歴史を読むと政権と天皇の関係がよくわかる。今上天皇は権力に利用されないように穏やかだが強力に国民に訴えている。


天皇が訴えていることと政権が出した結論に相違があることを国民の多くが知ったと思う。天皇は決して神武から続く人ではないが日本の心をつないできた何かがある。

昭和天皇は誤った道を進んだが今上天皇はそうならない道を歩んでいる。南北朝の時代から天皇にも様々な人がいる。

盲目的に天皇を敬うのではなく敬うに足る人かどうかを主権者である国民が見極めていくことが大切だ。


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by willfiji | 2017-01-23 18:07 | 読書 | Comments(0)

戦争中の暮らしの記録

「戦争中の暮らしの記録」(暮らしの手帳編)


暮らしの手帳社の
Twitterに掲載された。


『連続テレビ小説「
とと姉ちゃん」、ありがとうございました、ドラマを通して、
書籍「戦争中の暮らしの記録」に光があたり、多くの方が手にとって下さったこと、心より感謝申し上げます。映画「この世界の片隅に」へ受け継がれる思いに、希望を託して~』


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テレビの中で、戦争に巻き込まれていく当時の編集者の苦悩と戦後自ら戦争の事実をライフワークと課した編集長花森安治氏の姿が映し出され、それが「この世界の片隅に」に強く繋がっていることに感銘を受けたのはボクだけではないだろう。


この書籍はボクが高校3年の時に発行されている。

我が家でも購読していた「暮らしの手帳」。読んでいく中でこの本を読んだことがあると定かではない記憶が蘇ってきた気がした。

戦後23年経った時だ。戦争は戦争に行った兵隊だけが体験したものではない。


この記録にも書かれている東京大空襲では死者
89千人負傷者11万人とその数は広島、長崎を上回る。毎晩続く空襲から狭い防空壕に身を潜める。その防空壕も爆撃され死体の中を這い出して避難する、焼夷弾によって火の手に囲まれて逃げ惑うなどが決して上手くはない文章で綴られる、

切羽詰まった中で行われたできごとの悲惨さをも伝える。集団疎開した子供に親が送ったやっと手に入れたわずかな食料を横領する教師、すこしでも足手まといになる子供を容赦なく殴り続ける校長、女一人で子供を抱え実兄を頼って田舎に疎開するが追い出される姿など、戦争そのものが浮かびあがる。


ボクが今回手にしたのは再販版で、戦争体験のないボクの世代の感想文も載る。

なぜ国民は戦争をとめなかったのか?なぜ日本は今また戦争の道を進もうとするのか?


その時の問いをボクも思い出す。ベトナム戦争、学生運動の真っ只中だった,日本は自衛隊こそ派遣しなかったが、親米を貫いた。


ボクらは戦争を知らない子供たちとして反戦運動に加わった、戦争を知る人たちが閉ざしていた口を開きだしたのもこの頃だ。戦争を知らないボクらの問に答え出したのだ。


戦争反対なんてとても言えない、最初は正義のための戦争だと思っていたという、正直な人たちの話だ。この暮らしの手帳を読んでも、そんな一般の人の歴史がよくわかるのだ。


水木しげるの「体験漫画」も「この世界の片隅に」の主人公すずの言葉も戦争で何が起こったのかということがその後歴史を捻じ曲げようとする人たちがどんな手段に訴えても消せない事実を語っているのだ。

ボクはきっとこの本を読んだから全共闘の片隅にいたけど暴力革命には走らないべ平連シンパだったのだろうと思う。


とと姉ちゃんによってこの本が再び注目されていたのは、世の中が戦争の方向に歩み出しているからだ。
例えば日本人として慰安婦少女像は屈辱であってなぜあんな事をするのだろうとあきれるばかりだが、中国や韓国の人にとっては大臣が靖国に参拝するのは許せないと思うのと同じことではないだろうか。「
10億出した」という首相発言は更に火に油を差す。


アメリカ大統領は核のボタンを押せる人、危険な人だと多くの人が感じているがアメリカ国民はトランプ氏を選んだ。

日本人もそんな人を選ばないとは限らない。


メリル・ストリープのゴールデングローブ受賞での「軽蔑は軽蔑を招きます、
暴力は暴力を呼びます」というスピーチをあの戦争を肯定する人はどんな受け止め方をするのだろうか?


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by willfiji | 2017-01-12 18:20 | 読書 | Comments(0)