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パピヨンパパの思うこと
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近代天皇論(読書no.216)

近代天皇論」神聖か、象徴か。(著・片山杜秀・島薗進)

今上天皇の退位をめぐる右派と左派の態度が想定の逆だったことを不思議に思った人はボクだけではないだろう。

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退位について多くの国民が天皇の意向にそった思いを抱きボクもそう思った。本来なら保守は天皇の意に沿う動きをするのかと思ったら、退位を認めず摂政を置くというものだった。有識者会議が設けられた時、目を疑ったのがその人選、過半数を日本会議に関わる人が占めた閣僚人事と同じ構造。

日本が危うくなる安倍政権のこのやり方がボクが最も嫌悪感を覚えることなのだ安倍政権を支持する人は誘導的アンケートではあるが半数を占める。そんな人は日本会議がどんなものかわかっているのだろうか。


日本会議の主張を表したのが森友問題で浮上したあの幼稚園児の行動だ。あれを素晴らしいとすることを半数以上の人が支持するのだろうか?なぜ支持率が高いのかが論文になるほど不思議な現象であることは確かだ。


日本会議主張は櫻井よしこ氏の有識者会議での発言が示している。天皇は神聖であるがゆえに生前退位は許せないというものだ。天皇は神様なのだ

神話に始まる神武天皇の偉業に立ち戻り日本のよき伝統を守るという神聖な国家に支えを求める宗教ナショナリズムがその存在感を示し、戦前の思想から主流に返り咲いていることを安倍政権支持者は理解しているのだろうか。


著者たちは天皇がどのように神格化されたのかを分かりやすく説明する。明治維新の思想はあの徳川家康の孫、天下の副将軍が編纂した大日本史にある。徳川御三家の中で将軍になれなかった水戸藩は将軍以上の普遍の位を抱く天皇の臣として水戸学をおこす。その尊王攘夷思想は吉田松陰等が学び維新の原動力になる。

それが尊王開国となり、欧米に遅れた民主国家に追いつくために民主主義と天皇制が両立する国になったのだ。靖国神社のいきさつも明解で、農民でも死んだら武士と同等に祀られるために設立されたのだ。武士だけでは足りない兵は農民が担った。十分な補償ができないから天皇から賜る勲章が何よりも価値を持つとして、国のために戦うことを誇りに思う教育が徹底された。天皇が神格化する。


もともと神道はアニミズムの世界で哲学というようなものはない、光圀や武士が傾倒した儒教思想を入れることによって徳目が加わり皇国史観が出来上がったのだ。


日本会議は家族を大事にし、その子供は国のために働くもので女性は子供を育てるものとする、夫婦別姓は認めない。国のための国民があるのであって国民のための国ではないから民主主義の原点である基本的人権とは矛盾する考えだ、徴兵制を標榜する。


めざすは天皇の軍隊、決して認めることはできない。


天皇についてこの著者たちは更に語る、今上天皇は安倍政権とは対極構造にあるということだ。昭和天皇から引き継いだ象徴天皇に徹して平和国家を築きあげることが今上天皇の姿だ。

神ではなく人間としてのその振舞いを国民が見て深く敬愛しているのが現状だ。
A級戦犯が合祀されてから靖国参拝は決してしないし、侵略によって迷惑をかけた国々への慰霊の旅は日本国民の象徴として今上天皇の一大使命にもなっている。


ボクは神社に一般国民が参拝することや古事記や日本書紀に見られる神話のロマンを日本人として嬉しく思うことに全く異論はない。


ただ国民がカルト的思考を持つ勢力に組み込まれていくことを強く危惧している。
嫌中や嫌韓を宣伝し他国の人をヘイトする団体がなぜ存在感を増すのだろうか?


自主独立と対米従属という矛盾した二つの考えを使い分け象徴天皇の時代を神聖天皇に戻し国家制度に組み込むことはあってはならないことだ。


この本は現状の政治的危機を乗り越えるための提言もしている。

それは日本人の知性に十分訴えられるものだ。


「日米安保を優先する思考が本当に現実的なのか?日中や日露を込みにした安全保障を構築しつつ平和の理念を世界に宣伝すること。」これこそ美しい国日本ではないのか。


北朝鮮の軍事的危機を喜んでいるのは当事者である金正恩氏と安倍晋三氏であるという言質は決して間違っていないようにも思うのだ


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# by willfiji | 2017-05-21 10:37 | 読書 | Comments(0)

「南京事件」を調査せよ (読書no.215)

「南京事件」を調査せよ(著・清水潔)

本書に描くドキュメンタリー番組でもギャラクシー賞テレビ部門優秀賞、放送人グランプリ、平和協同ジャーナリスト基金賞奨励賞などを受賞。

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著者を知ったのは「殺人犯はそこにいる」を読んでから、真実を追求する姿勢に今薄れつつあるジャーナリズム精神に一石を投じていると感服したからだ。


その後
Twitterでもフォローして著者の投稿がその本領を発揮していると更に注目するようになった。


著者の所属する日本テレビは政権よりの報道をするが著者の軸足は変わらない、右でも左でもない真実にその身を置く。


「おれにとっては右派も左派もない、あるのは真実だけだ」(ボブ・ディラン)と同じ心境だ。


南京事件は安倍政権になって特におかしな解釈をする人が出てきた。慰安婦も同じだが、なかったとする人だ。今までなら問題ならなかったが、産経新聞がその立場をとってから特にそう言いたかった人に賛同する人が出てきた。


書は
31冊の日記と現地取材 南京事件の事実を示す。


1215日、23日前捕虜せし支那の一部5000名を揚子江の沿岸に連れ出し機関銃を持って射殺・・・・山となっている死人の上をあがって突き刺す気持ちは鬼をもひしがん勇気が出て力いっぱい突き刺したりウーンとうめく支部兵の声、年寄もいれば子供もいる一人残らず殺す。刀を借り首をも切ってみた」


なぜ自分の犯罪を今知らしめるのかの問いに老人は二度と過ちをおかさないことと真実を残す使命を果たすことと答える。


著者は日記の日付や官庁に残っていた資料などで裏付け捜査もしてこれが真実だと番組を作り上げた。
9割以上の賛同の反応があったと日本人の良心に安堵すると同時に一割の批判にもその誤りを正す余地を見つける。


南京事件は無かったという根拠にそれらはその時の兵による言葉で、
あれは誤射だったとか、捕虜の反乱があったとか、中国兵のなりすましだとかいうものだ。

その兵は戦争中英雄だったのに捕虜を殺したことで問題の人になる。そうならない立場に立つのは理解できる。だが事実を隠蔽している。


日記を公開して過去を語る老人の勇気こそ真実を語る姿だと思う。


国益を損なうという理由で真実から目をそむけ、利益や利害を主張するイデオロギーを支持する立場に立つ産経はもはや一般紙ではない。


真実を伝えるというジャーナリズムとイデオロギーとは世界が違うとの考えを軸足に読売系日本テレビに籍を置きながら真実を追求する著者の書をボクは疑うことはできない


色んな資料があるだろうが、南京や慰安婦問題はないとしたら我々は虚偽の歴史を作ったと未来を託す人たちに思われてしまう。そんな愚を犯してはならない


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# by willfiji | 2017-05-16 11:09 | 読書 | Comments(0)

イヌにこころはあるのか。(読書no.214)

イヌにこころはあるのか」(著・レイモンド.コッピンジャー マーク.ファインスタイン)遺伝と認知の行動学。

イヌを飼っていると人間と同じように「こころ」を持っていると確信する。

この本は動物行動学イヌ研究の第一人者が書いた、愛犬家必読書である。

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この本から学んだことをボクの従来の知識を加えて記す。

現在世界には10億のイヌがいる、日本にいるボクたちはそのほとんどを家族と共にくらしているが定まった人に飼われているイヌは1/4に過ぎない野犬や村イヌといったノラがイヌの大半。


イヌの祖先はオオカミだといわれているが、他にジャッカル、コヨーテ等とも似ている。みんな同じ祖先を持つと考えるべきだ。交配もできオオカミ犬を飼っている人もいる。


オオカミは遠吠えをするがいつもワンワン吠えているのはイヌの方で遠吠えとは吠える意味は違っている。我が家もそうだが怪しい人が来た時、家族がいると吠えて知らせるが、家族がいなければ吠えない。


イヌは他のイヌに食べ物を分けることはないがオオカミは狩りをした仲間同志で獲物を分け合い、子供には吐き戻しして餌を与える。イヌは何万年も人間のそばにいたから遺伝子の中で餌は人によって与えられると組み込まれている。


イヌの「こころ」はこの遺伝子にあって行動を促すように働く。

イヌほど犬種の多い動物はいないのではないだろうか、我が家のパピヨンとグレートデンでは体重が10倍も違う。


家畜に対して働く作業犬でも護衛犬のシープドッグとボーダーコリーやコーギー等の誘導犬では動きが全く違う。護衛犬はオオカミやクマと戦う姿勢を見せて追い払うがヒツジを囲い込むことはしない。
また誘導犬でも羊を追い込むボーダーコリーと牛の足にかみついて逃げていかないようにするコーギーとは違いがある。


我が家はスポーツドッグ競技を楽しんでいるから犬種の特徴がよくわかる。

アジリティーやエクストリームのように旋回する競技なら大型犬ではボーダーコリーが適している。パピヨンも誘導犬系統だから能力を発揮する。

但し、小動物を追い込んで穴の中まで入っていっ殺してしまう狩猟犬のジャックラッセルや大型犬を一回り小さくしたシェルティーが同じグループに入るとスピードでは負けてしまう。他に水の中に落ちたカモを拾って持ってくるプードルまっすぐ進むなら動物を追い続けるウイペットや小型化したミニチュアピンシャーがスピードで勝る。


生まれながらに持っている遺伝子と生後に訓練される育て方がイヌのその後にどのような影響を与えるのかこの本は詳細に記述していてとても興味深い。

スポーツドッグは犬種の持つ遺伝子と生後の訓練が個体差となる、もちろん競技に優位な遺伝子を持ったイヌに効果的な訓練をすれば最強になる。


イヌにこころがあると思うのは、喜びを共に味わえる時だ。

スポーツドッグ競技にボクが魅せられた理由はここにある。


人間の気持ちが一番わかる動物はイヌだとまではこの本は言及しない。

冷静にイヌを扱っているところがますますイヌと人間との関係が深いということを気づかせてくれる。


イヌは人を決して裏切らない。
イヌから学ぶことは多い、人間より多様化の進んだイヌを長い年月かけてつくりあげたのは人間だ。

この芸術品との暮らしほど心地よいものはない。


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# by willfiji | 2017-05-09 10:13 | 読書 | Comments(0)

拉致被害者たちを見殺した安倍晋三と冷血な面々(読書no.213)

拉致被害者たちを見殺した安倍晋三と冷血な面々」(蓮池 透)北朝鮮に拉致された蓮井家薫氏の兄が語る拉致問題。

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2002年小泉首相が訪朝し拉致が明らかになってから十数年が経った。著者の弟家族らは帰国したがその後の進展はない。帰国できなかった拉致されたとされる人たちの動向は北朝鮮との関係を考えればますます不明度を増す



この本は拉致家族当事者が日本の無作為の原因とその経過を自らの反省を込めて語る歴史書だ.


ボクが拉致家族の人たちの発言が少しおかしいと思うようになったのは、著者をはじめとする家族会の人たちの北朝鮮に対する言動が右翼的な人たちが言っていることと相似していると感じた時からだった。

凄惨な運命を背負わされた家族の人たちがなぜ極右とも言われる差別主義者が口にする言葉と同じレベルで北朝鮮を批判していたのだろうか?この本はその疑問に答える。


「家族会が救う会に乗っ取られた」と著者は訴える。今著者は救う会とともに家族会とも距離を置く。

更に北朝鮮に敵対する発言を先頭に立って言っていた自分を「特定の思想があるわけではなくまったくのノンポリで新聞もろくに読んでいなかった」「後先を考えない独りよがりの発言」「小泉訪朝からヒーロー気分になり今考えると恥ずかしい」と猛烈に反省する


拉致された家族は当初何をしたらよいのかわからず救う会の人々がすべてのおぜん立てをしてくれたのだ、各地の講演や署名活動など救う会が家族会を支援する形で動いた。


家族会を政治利用する人たちの見分け方は簡単でそういう人たちは間違えなくブルーリボンをつけている、必ずといっていいほど北朝鮮に対して強弁な主張をする。

最も政治利用したのは安倍晋三だと名指し、拉致を使ってのし上がった男だという。

安倍氏が注目されたのは蓮池薫氏の一時帰国を阻止し彼を返さないと小泉首相に言い張ったということが有名だが事実は違う。迷った結果北朝鮮に戻らないと強硬に主張する薫氏をなんとか戻そうとしていたのは安倍晋三と中山恭子氏で薫氏の強い意志に最後に折れたというのが事実だ。

そのことが報道されていたら安倍首相は一次も二次もなかっただろう。中山氏はその後議員となって自民党から日本維新、そして最右といわれる政党党首になっている。


北朝鮮問題が浮上している。アメリカの先制攻撃論が危機を煽る。冷静に考えればトランプ大統領が火をつけたのだが、危険なのは対話と圧力と言いながら対話努力しない安倍首相の対応だ。

著者の考え方が変わり最近では拉致家族会も制裁では解決は遠のくばかりと対話の方法を模索しだしたのは、あらゆる手段を尽くすといった安倍首相がやったことは経済制裁しかなかったからだ。圧力は北朝鮮を硬化させるだけで解決の道を閉ざしてしまった。


北朝鮮のやり方は許されるものではないが武力では解決できない。

地道で多くの批判があっても光明をみつけて交渉し続ける忍耐力が必要だ。


今回の北朝鮮危機によって支持率が持ち直すという悲しいポピュリズムの世界に日本が陥っている時、この拉致問題の対応の経過と結果から学ぶべき点が多いことを知るべきだ。

拉致問題を利用する政治家たちは北朝鮮を非難することで支持を集める。

偏狭的なナショナリズムを盛り上げた右翼的思考は対話の道よりも力で相手を抹殺する道を選ぶ。勇ましい姿勢は受けがいい、パフーマンスに騙まされず経済制裁だけで10年以上経った拉致問題の実態をきちんと見るべき時なのだ。

タフでハードで面倒な交渉を回避して戦闘行為をちらつかせて脅威を煽ることがいかに愚かであるかを歴史から学ぶ必要がある。


平和を口にすると売国者とかスパイと言ってバッシングする極右にこの国を動かされてはならない。日本は拉致事件によって加害者から被害者になった。鬱憤してきた憤懣や差別意識がふきだしてしまったと著者。


右翼でも筋の通った人は義を重んじる。森友問題で露呈した同志をも簡単に切り捨てる安倍首相はいつまでその地位を維持するのだろうか。


話し合いを真剣にすることを放棄する人は自分の意見の正当性を示すために北の脅威が続くことを願う人になっているようにも思える。


性善説と性悪説のどちらを取るか、その答えを見つける時かもしれない。日本国憲法は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して・・」と人間の性善説に立つ。


性悪説を取る人は性悪説そのものが戦争への道だと気付いているのだろうか。ボクは人間は性善に向けて歩む者だと信じている。


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# by willfiji | 2017-05-06 17:13 | 読書 | Comments(0)

蜜蜂と遠雷(読書no212)

蜜蜂と遠雷」(著・恩田陸)
直木賞と本屋大賞の両賞を取った本は初めて、文句なしの最高傑作。今一番売れている本だ。

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芸術を楽しめるのは神様に一番似せて人間が創られたからなら神様に感謝だ


神様は文学と音楽が融合したこの本にどんな評価を与えるのだろうか。


ピアノで奏でる世界が音符ではなく言葉で埋められ、読みながら聞こえてくるその文章力に圧倒される。


バッハ、ベートーベン、モーツァルト、ショパンなら誰しもが知っていて、ラフマニノフなら名前だけはというボク程度の人でもこの本でバルトークやプロコフィエフを聴くことができる。
500ページのすべてがピアノコンサートの世界に導く。


冷たい世界が肌に気持ち好かった、足の下でぱきんと枯れた枝が折れた音がする。ミルク色の霧の中にキラリと光が射し込んだ。鹿がぴんと耳を立て、首を上げる。遠くからくる何かに気付いたらしい。高いところで鳥が鳴く。さえずる、歌う。はばたいて空を渡っていく


作者は音楽を文学にして更に絵画や映像をも提供する。


この本は人間が持つ感性のすばらしさに対しての自惚れを強くするのと同時に芸術がいかに表現しようともその彼方に自然が悠然とあることも示している。


そして人間の心が持つ感性の寛容性ともいえる表現方法の広さも著す。


ピアノコンクールに出場した
4人を中心に小説は展開する。


一次予選から二次三次予選へ進み、本せんで優勝者が決まる、数多の曲で
4人が競う。


ピアノは打楽器となり時に弦楽器にもなる。同じ曲も演者によって異なるイメージが生まれそれが何百年経っても変わらぬ一つの曲として納まる。


心地よいコンサートに時間を忘れ次々に聴き入ってしまう自分と美味しいものが無くなってしまわないようにゆっくり噛みしめていたい自分とを葛藤させながら読み進んだ。


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# by willfiji | 2017-04-28 11:04 | 読書 | Comments(0)