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空のように、海のように♪


パピヨンパパの思うこと
by willfiji
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「浮世の画家」(読書no.240)

「浮世の画家」 (著・カズオ、イシグロ)

「浮世の画家」(読書no.240)_a0199552_16282772.jpg

ノーベル文学賞作家の書である。今年の受賞者に村上春樹氏の名はまたも無かったが予想されない人の名があった。

時の人になって特集なども組まれ、カズオ・イシグロ氏の人物なりをボクは知った。

その中でさすがと思ったのは真実と小説の関係を氏がドゴール大統領の発言を例に出して語ったことだ。


「フランスがドイツに占領された時、多くのフランス人がドイツに協力してユダヤ人やレジスタンスに関わった人たちの動向を密告した。ドイツが破れフランスが解放された時、人々は口を閉ざした、気まずさが国中に蔓延した。それを救ったのがドゴールだ、『歴史を明らかにしていいの時まで、フランスの全ての人がフランスの開放に向かってドイツに敵対した』と宣言したのだ」


イシグロ氏は自らの小説をノンフィクションではあるが決して人を騙すものではない、小説にはこのドゴールのようなフィクションをノンフィクションにする力があると言及した。


「浮世の画家」はその発言に沿ったかのような小説だ。


主人公小野は名声のあった画家で戦後引退した姿で登場する。長女は嫁ぎ、初孫の成長が小野の生きがいでもあった。次女の婚礼の話があって小説の本題に入って行く。


戦争は日本でも国民の亀裂を生んでいた。ボクも太平洋戦争に関する多くの本を読んで戦争突入時には日本人の大半が戦争に賛成か少なくともやむをえないと思っていたと理解している。

日清、日露の戦争に勝ったことと欧米列強と同等になるための聖戦として日本中が戦争の道になだれ込んだ。そんな中にあっては異を唱えるのは並大抵のことではなかっただろう、知識人の多くは間違った戦争だと思う気持ちはあったが愛国者を否定されてしまう状況に背くことはできず、むしろ連合国の傘下に下ることを潔しとしない理由で戦争を肯定的にとらえた。

画家として大家であった小野は国民を高揚させるために絵筆を取った、弟子たちもその道に就かせた。但し弟子の中でも反戦の志がいて投獄され拷問まで受けた、小野はそんな弟子を密告するようなことはしなかったが弟子は投獄されたのは小野が情報を憲兵に伝えたとの思いを持ち戦後小野を批判した。


次女の婚礼の話で小野が心を砕いたのは戦争協力者と言われれば破断になることだった。


東京裁判は指導者たちを裁くものだが、民衆の中の戦争を引っ張った者はどう裁かれたのか、日本にドゴールはいなかった、日本人は戦争に負けると大半が戦争反対者に転向した。
200万人という被害者を出したのだから当たり前のことだが、反戦者となった民衆は小野のような人を許さなかった。小野は戦争責任を背負う人となった。大衆は怖い存在である。


イシグロは小野を通してそうした歴史に鋭い眼をむける。

もちろんイシグロは戦争肯定者ではない。戦争を否定していいのだがなぜ戦争が起こったのかという深い洞察だ。

今の日本もこの本のテーマの下にある。小野の行動を肯定する戦後の平和主義を否定する動きだ。

それはドゴールのようにしばらく無いことにするのではなく無かったことにしてしまうというもの。戦争賛成者が戦後は平和主義者になりそして今戦争肯定者になる

戦犯で特赦を受けた人たちが復活したのは朝鮮戦争が始まって、その後ベトナム戦争を経るに至り当初日本の再軍備を恐れたアメリカではあったが日本を協力国にする動きがあったからだ。日本は戦争をしない国からアメリカと共に戦う国になってしまった。


北朝鮮問題を見ても武力で叩けという声が聞こえてくる。日本の軍備が増強されている現状への批判は声を失っていくような状況だ。北朝鮮問題は外交で切り開く以外に道はない。


確率は少ないがもし北朝鮮との戦争が起こったら日本の被害も甚大になる。そうなった時、対話より制裁だと言った人たちの責任は問われるのだろうか、大多数の人たちが自分は制裁よりも対話と言ったと言い出すかもしれない。
この本はこう読み直すことができる

北朝鮮の危機を煽ることで自民党が国民の多数から支持を得た現実がある。


大多数の国民が誤った歴史の流れを懲りることなく作ってしまうフィクションをノンフィクションとして示したこの本の底に流れるテーマはあまりにも深淵だ。



by willfiji | 2017-12-03 16:39 | 読書 | Comments(0)
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