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外来種は本当に悪者か?(読書no.219)

「外来種は本当に悪者か?」(著・フレッド.ピアス)The New Wild

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ボクが毎日のように犬と遊んでいる多摩川にもカミツキガメ、アリゲーターガー、そしてピラニア等外来種が住んでいる

春になればセイヨウタンポポがいっぱい咲いて、日本タンポポをみつけるのが難しい。


ボクの中にも「日本がんばれ!」の気持ちがあって、外来種がはびこることは望まない。


一方、人間社会を考えると排他性が勢いを増している。

最も憤りを覚えるのはヘイトだ。中国や朝鮮・韓国・在日の人まで憎悪する発言や行動が目立ってきている。本屋に行くとヘイト物が並び、最近はネトウヨをマーケットにしたゴーストライターに書かせた元外人タレントの本が30万部も売れたという。

普通本を読む習慣があるなら人は真実を知り、多様性を認めるようになるものだが、右傾化から抜け出せない人がいる。特にネトウヨの言葉は街宣車のがなり立てる騒音と同じで聞くに堪えないものばかりだ。在特の人たちがいることは日本人として恥ずかしいと思う。


人間も動物お同じような属性を持つとしたら外来種を忌み嫌うことはボクの心情にはあわない。
この本は外来種に対しての考え方に新しい世界を示す。ニューワイルドという新生態学だ。


環境保護はしばしば以前の状態に戻す手段を取る、保護地区の設定や外来種駆除の多くの有効性は限定的だ。

著者は「以前の状態」とはいつのことかと問う。在来種はいつ在来種になったのかということだ。日本人だって同じだ、中国や朝鮮、韓国のひとたちやアンデスに住む人たちと同じ蒙古斑を持ち、今生きている人間は共通の遺伝子を持っているホモサピエンスということを考えれば、みんな在来であって外来でもあるのだ。


この本には納得できない部分もある、環境はあるがままにしておけば自然そのものの移り変わりに対応する、それが自然だというものだ。


汚染が進んだ場所で在来種を押しのけて外来種が生き抜いていたら、外来種が生物多様性を守ったことになるというのだ。
今、野生動物が一番増えているのはチェルノブイリの人が住めない放射能汚染地区、かつて
5万人が住んだ場所にはヤマネコ、オオカミ、ヘラジカ、ビーバー、イノシシ等々、渡り鳥までやってくる。野生動物は長生きしたあげく病気で死ぬことはほとんどないと解説する。死生観を考えさせられる。


温暖化によって気温が
2度上昇すると1/4の動物が死滅すると環境保護者は言うが、新しい環境で生きる動物が増えてそうはならないと著者は言う。


「急激で破壊的な変化をふくめて、変わることは当たり前、世界はいつも流転、生態系が新しくなることは自然保護の脅威だとされてきた。それが現実でありチャンスでもある」と説明する。


30年程前、多摩川はヘドロの川だった、それが今アユが遡上する川になった、前述したように外来種も住んでいる。

多摩川が綺麗になったのは人間の意志による、その意志を自然の成り行きとすればそれに任せたままだとも考えるが、自然保護の観点があったことは確かだ。


外来種について考える時、外来種を認める中で人間ができることをしていくことだと思う。環境保護は大事だが捕鯨問題のシーシェパードになってならない。


アフリカのエボラ熱、ヨーロッパの口蹄疫、アジアの鳥インフルなどは持ち込んではならないし入ったら徹底駆除すべきものだ。


ボクに結論の出ないことがある。ニホンザルを守るために外来のアカゲザルを動物園が殺処分したというものだ。

固有種は日本の文化だが、守るために外来種を殺していいのか?


猿被害で
2万頭のニホンザルが殺処分されている現状もあって、アカゲザルを殺処分しても問題はないと判断があったようだが。ボクにはすっきりしないものが残っている。

ニホンザルの尻尾が将来長くなってもいいと思うのだが?結論は先延ばしだ。


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# by willfiji | 2017-06-22 17:57 | 読書 | Comments(0)

落葉 (読書no.218)

落葉」(著・朝井まかて)明治神宮創建にかかわる意欲作。


ボクの勤めていた会社の最寄り駅は新宿だったが、代々木駅からも近く、そこは神宮の森につながっていた。

明治神宮は明治天皇と皇后を祭神とする神社であるが人々がお参りしていても明治天皇を意識する人は少ないのではないだろうか。

天皇とはきっとそんな存在なのだ。

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今上(平成)天皇の「お言葉」は日本国民が天皇という存在を考えるいい機会になった。


この本は明治天皇の陵墓を京都ではなく東京に作ろうとした国の意図と日本人が天皇に抱く特別の感情がどんなものであったのか明治から大正にかけての時代背景とともに書かれたものだ。


明治天皇は維新によって上京、江戸城を皇居に江戸を東京に変え、日本を国際社会の一員にのし上げた国民の心情的バックボーンとなった。

薩長が幕府を逆臣としたのは天皇の錦の御旗を持ったことによる。勝利した薩長は明治政府の中枢となり、国の方向を決めて行った。


日清・日露の戦争に勝利しアジアの中で唯一の先進国と認められた日本は第1次世界大戦でも勝者となり、国民の士気は高まるばかりであった


天皇が高齢になると陵墓をどこにするかが大きな問題となる。遷都宣言なく明治天皇は皇居に住み、京都に行くことがあってもそれは帰るとは言わなかった。


財閥も東京に明治天皇の陵墓を作ることに懸命となった。莫大な工事費という実利もそれを促した。


物語は明治神宮作りの議論からはじまる。候補地である代々木は武蔵野丘陵の端にある、厳かな針葉常緑樹が育たないのだ。専門家の教授が異を唱えても権力の前に組み込まれていく。

教授が見出したのは150年構想だ。短期でも樹を植えてあるものは枯れあるものが再生し次第に常緑の森をつくるというもの。広葉常緑樹がまず植えられる。


国民が持つ天皇への特別な感情、それが物語の大きなテーマになっている。

神社に祭られる天皇は国民の安穏を願う人だ。日露戦争を境に天皇の全国行脚が始まる。天皇が宮中に納まったのは武士の時代になってからで、その前の天皇はいつも民の釜戸をみてその暮らしが安穏であることを神に祈っていた


その姿が晩年の明治天皇にもあった。


今上天皇の慰霊地をまわり被災者に正座で対面する姿に戦争責任を追及された父親の昭和天皇の面影はない。その姿をみて天皇に対するボクの考え方も変わってきた。


明治維新によって天皇の時代が再開し、薩長政治が天皇を利用して富国強兵の道をいっきに駆け上る。明治天皇自身の思いを知ることはできないが、
明治天皇に対して、「互いに血を流して荒野に死ねよとはそれが人の誉であるとは、それが帝の深き御心でありましょうか、さようなはずは、ございませんでしょうって」と与謝野晶子は言っている。


自由民権運動や大正デモクラシーがあって立憲君主制であっても民主主義に日本は向かったが、世界恐慌が日本をも包んで行った中でアジアの盟主としての振舞いは資源を持つ中国への侵略という軍部が率先したものだった。

軍は兵を集め士気を高めるために天皇を利用した。明治天皇の維新における意志ほど希薄ではなかったが昭和天皇は東条内閣が嫌いであっても軍事政権を統帥する立場で戦争に突入した。


明治天皇がそうであったように、天皇は神様となり、日本兵は神の軍隊となった。


北朝鮮の映像でかつての日本の姿を想像することができる。

権力を握った独裁者は自分への批判は許さない。批判をかわすには神様が一番徳川家康も皇帝ではなく征夷大将軍になったのも日本にはいつも天皇がいてそれなりの役目を果たしたからだ。


安倍政権は憲法改正を目論み天皇を元首にする案まで持ち出している。国民主権を反故にする。権力は天皇を利用する。

それは国民の持つ意志とは違う。

今回の生前退位でもそのことが明らかになった。

天皇が希望した生前退位は認めないというのが安倍政権の姿勢だ。


それにはネトウヨに惹かれただけの人もびっくりしただろう、天皇は神だから生前退位などありえなないというもの、今上天皇の意志が無視されたのだ。その後修正され特例法が出来たが見逃せないのが天皇を神事のみに押し込め利用しやすくする安倍政権を支える日本会議の意思だ。


今日の国会でも共謀罪法案が十分な審議なしに可決された。

安倍政権は議論させない国を作っている。

天皇への思いも含めて日本人の謙虚さを利用している、政治を口にしない人が多く無関心、長いものにはまかれ、権力の思うままに動く。自由に伴う責任を果たして行くことは大変で従うことの方が楽だという社会になっている。


社会全体が批判しない傾向にあるのは仕方がないことかもしれないが何か悲しい国になっていくような気がしてならない。


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# by willfiji | 2017-06-15 16:55 | 読書 | Comments(0)

「終わらざる夏 。上・下」(読書no.217)

終わらざる夏。上・下」(著・浅田次郎)
終戦は1945815
日、それでも戦争が終わらなかったという史実をもとに書かれた悲劇の物語だ。

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映画「この世界の片隅に」が大ヒットした背景には、戦争が終わって70年経って世相が変わってきたことによる。2度と戦争は起こさないと誓った反省を威勢のいい言葉で一蹴するナショナリストたちが存在感を出している。そのことを危険だと感じ取った人々に訴えるものがあったからだ。この本も当時の一般の人たちが戦争を体験しどう感じたかを映し出しそんな世相に一石を投じる。


今国会を通そうという「共謀罪」、これがどんなに悪法なのか、この本が書かれたのは
7年も前だが、戦争時の治安維持法が自由を奪っていったことを明白にしている。


主人公が語る、「片岡が憎んでいるものは戦争そのものではなかった。非常時の名のもとにあらゆる自由が奪われていくことを心から憎悪していた。」


浅田彰氏は直近でも共謀罪反対の立場で、「人はいずれ死ぬが、法律は死なない。子や孫の代にこの法律がどうつかわれるか」と発言をしている。


この物語は日本がポツダム宣言を受諾した時、千島列島の先端の島「占守島」に
23000人もの無傷の兵隊と戦車戦力が存在したことを記す。その島に終戦直近に徴兵された老兵とあとひと月で徴兵年齢から外れる英語翻訳者と医専在学中の若い医者を中心に物語は進む。


それぞれの家族やそれを囲む人たちの思いやその時の生活が綴られる。

大本営の発表とは裏腹に沖縄戦敗戦や各地での空爆から人々は日本が負けると思っていたがそれを声に出すことはできなかった

東京も空襲によって焼野原になり人々は少ない食料と住む場所を求める日々が続く、疎開先で家族の死を知る子供たちも多くいた。常に空腹でやせ細っていった

何のための戦争か、誰もが疑問に思っていたがお国のためだと鼓舞する人に従わざるを得なかった。国民の大半の気持ちは一億総玉砕に向かっていた。国のため、天皇のために死ぬことを覚悟していたのだ。国とは何か、天皇とは何か、そうした考えさえ持つことを国は許さない、命令は絶対だった。


暗い世の中でも人々は生きることに希望を抱いていた。

やがて広島、長崎に原爆が投下されソ連が宣戦布告し、日本はポツダム宣言を受諾した。


占守島の兵たちも玉音放送の内容が伝達され、武装解除の準備に入った、英語翻訳者の徴兵はその時やってくる米軍との折衝のためにあらかじめ派遣されたのだ。本人が知ったのはこの島に着任してからだ。参謀は敗戦の準備を半年前からしていたのだ。


その島で戦争が始まった、攻めてきたのはアメリカではなくカムチャッカにいたソ連軍だ。日本軍が戦力的に勝り死傷者はソ連軍を下回るが日本兵の多くが死に翻訳者もその中にいた。


やがてアメリカの仲裁が入り、日本兵はシベリアに抑留され過酷な労役が課され多くの人がそこでも死んでいった


日本から言えば明らかにソ連の違反行為だが、北方領土をソ連は勝ちとり、彼らの言い分では攻撃をしかけたのは日本だと主張して今に至る。


本には千島列島の歴史が詳しく書かれている。


この島にはアイヌに近いひとたちが住んでいた、クリルアイヌという人だ。アイヌ語に近い言葉を持つ、千島列島に
500人が居て、占守島に90人いた。この人たちはロシアのひとたちとも日本人とも戦わず、友好的に交流があったが明治政府によって択捉に強制移住させられ、樺太のアイヌやウィルタや二ブヒといった人たちと同じ運命を歩む。


国がからんで民族的基盤を失う歴史から我々は国家とは何かを学ぶ必要がある。


負けると分かっていた戦争、国のために多くの命を失った戦争、戦争が終わったのに死んでいった人たち。昔から居たのにいなかった人たちで住む所が無くなってしまった人たち。


この本の題名「終わらざる夏」は今も続いている。

軍事費に5兆円も費やしていいのか、日本が平和国家を築いたのは戦争という数多の犠牲から学んだ結果だ。世の中が変わってきていると戦前に戻る思想を憲法に組み込むという流れになってはならない。国のために徴兵制まで思考する国にしてはならない。


不可侵条約を破棄して戦後まで戦争を仕掛け、違法な労働でシベリア抑留させたソ連の行為や庶民まで大量殺戮した東京大空襲、そして原獏投下したアメリカの行為も不当である


被害者になった日本国民の声は平和国家を目指す一つの道を示している。
同時に日本人として心しなければならないのは、加害者としての深い反省だ。


侵略戦争を肯定し慰安婦問題を蒸し返す愚は戦前の誤った方向への道筋だ。

被害者としての気持ちは加害者としての気持ちと併せ持つことによって平和への強い意志となって現れる。


安倍政権になってから、日本は近隣諸国からの信用をどんどん失っている。加害者を認める勇気がないから力に頼ることを目論むのだ。


終わらざる夏を終わらせることができるかは国民一人一人の平和を希求する心にかかっている。


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# by willfiji | 2017-06-09 17:03 | 読書 | Comments(0)

近代天皇論(読書no.216)

近代天皇論」神聖か、象徴か。(著・片山杜秀・島薗進)

今上天皇の退位をめぐる右派と左派の態度が想定の逆だったことを不思議に思った人はボクだけではないだろう。

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退位について多くの国民が天皇の意向にそった思いを抱きボクもそう思った。本来なら保守は天皇の意に沿う動きをするのかと思ったら、退位を認めず摂政を置くというものだった。有識者会議が設けられた時、目を疑ったのがその人選、過半数を日本会議に関わる人が占めた閣僚人事と同じ構造。

日本が危うくなる安倍政権のこのやり方がボクが最も嫌悪感を覚えることなのだ安倍政権を支持する人は誘導的アンケートではあるが半数を占める。そんな人は日本会議がどんなものかわかっているのだろうか。


日本会議の主張を表したのが森友問題で浮上したあの幼稚園児の行動だ。あれを素晴らしいとすることを半数以上の人が支持するのだろうか?なぜ支持率が高いのかが論文になるほど不思議な現象であることは確かだ。


日本会議主張は櫻井よしこ氏の有識者会議での発言が示している。天皇は神聖であるがゆえに生前退位は許せないというものだ。天皇は神様なのだ

神話に始まる神武天皇の偉業に立ち戻り日本のよき伝統を守るという神聖な国家に支えを求める宗教ナショナリズムがその存在感を示し、戦前の思想から主流に返り咲いていることを安倍政権支持者は理解しているのだろうか。


著者たちは天皇がどのように神格化されたのかを分かりやすく説明する。明治維新の思想はあの徳川家康の孫、天下の副将軍が編纂した大日本史にある。徳川御三家の中で将軍になれなかった水戸藩は将軍以上の普遍の位を抱く天皇の臣として水戸学をおこす。その尊王攘夷思想は吉田松陰等が学び維新の原動力になる。

それが尊王開国となり、欧米に遅れた民主国家に追いつくために民主主義と天皇制が両立する国になったのだ。靖国神社のいきさつも明解で、農民でも死んだら武士と同等に祀られるために設立されたのだ。武士だけでは足りない兵は農民が担った。十分な補償ができないから天皇から賜る勲章が何よりも価値を持つとして、国のために戦うことを誇りに思う教育が徹底された。天皇が神格化する。


もともと神道はアニミズムの世界で哲学というようなものはない、光圀や武士が傾倒した儒教思想を入れることによって徳目が加わり皇国史観が出来上がったのだ。


日本会議は家族を大事にし、その子供は国のために働くもので女性は子供を育てるものとする、夫婦別姓は認めない。国のための国民があるのであって国民のための国ではないから民主主義の原点である基本的人権とは矛盾する考えだ、徴兵制を標榜する。


めざすは天皇の軍隊、決して認めることはできない。


天皇についてこの著者たちは更に語る、今上天皇は安倍政権とは対極構造にあるということだ。昭和天皇から引き継いだ象徴天皇に徹して平和国家を築きあげることが今上天皇の姿だ。

神ではなく人間としてのその振舞いを国民が見て深く敬愛しているのが現状だ。
A級戦犯が合祀されてから靖国参拝は決してしないし、侵略によって迷惑をかけた国々への慰霊の旅は日本国民の象徴として今上天皇の一大使命にもなっている。


ボクは神社に一般国民が参拝することや古事記や日本書紀に見られる神話のロマンを日本人として嬉しく思うことに全く異論はない。


ただ国民がカルト的思考を持つ勢力に組み込まれていくことを強く危惧している。
嫌中や嫌韓を宣伝し他国の人をヘイトする団体がなぜ存在感を増すのだろうか?


自主独立と対米従属という矛盾した二つの考えを使い分け象徴天皇の時代を神聖天皇に戻し国家制度に組み込むことはあってはならないことだ。


この本は現状の政治的危機を乗り越えるための提言もしている。

それは日本人の知性に十分訴えられるものだ。


「日米安保を優先する思考が本当に現実的なのか?日中や日露を込みにした安全保障を構築しつつ平和の理念を世界に宣伝すること。」これこそ美しい国日本ではないのか。


北朝鮮の軍事的危機を喜んでいるのは当事者である金正恩氏と安倍晋三氏であるという言質は決して間違っていないようにも思うのだ


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# by willfiji | 2017-05-21 10:37 | 読書 | Comments(0)

「南京事件」を調査せよ (読書no.215)

「南京事件」を調査せよ(著・清水潔)

本書に描くドキュメンタリー番組でもギャラクシー賞テレビ部門優秀賞、放送人グランプリ、平和協同ジャーナリスト基金賞奨励賞などを受賞。

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著者を知ったのは「殺人犯はそこにいる」を読んでから、真実を追求する姿勢に今薄れつつあるジャーナリズム精神に一石を投じていると感服したからだ。


その後
Twitterでもフォローして著者の投稿がその本領を発揮していると更に注目するようになった。


著者の所属する日本テレビは政権よりの報道をするが著者の軸足は変わらない、右でも左でもない真実にその身を置く。


「おれにとっては右派も左派もない、あるのは真実だけだ」(ボブ・ディラン)と同じ心境だ。


南京事件は安倍政権になって特におかしな解釈をする人が出てきた。慰安婦も同じだが、なかったとする人だ。今までなら問題ならなかったが、産経新聞がその立場をとってから特にそう言いたかった人に賛同する人が出てきた。


書は
31冊の日記と現地取材 南京事件の事実を示す。


1215日、23日前捕虜せし支那の一部5000名を揚子江の沿岸に連れ出し機関銃を持って射殺・・・・山となっている死人の上をあがって突き刺す気持ちは鬼をもひしがん勇気が出て力いっぱい突き刺したりウーンとうめく支部兵の声、年寄もいれば子供もいる一人残らず殺す。刀を借り首をも切ってみた」


なぜ自分の犯罪を今知らしめるのかの問いに老人は二度と過ちをおかさないことと真実を残す使命を果たすことと答える。


著者は日記の日付や官庁に残っていた資料などで裏付け捜査もしてこれが真実だと番組を作り上げた。
9割以上の賛同の反応があったと日本人の良心に安堵すると同時に一割の批判にもその誤りを正す余地を見つける。


南京事件は無かったという根拠にそれらはその時の兵による言葉で、
あれは誤射だったとか、捕虜の反乱があったとか、中国兵のなりすましだとかいうものだ。

その兵は戦争中英雄だったのに捕虜を殺したことで問題の人になる。そうならない立場に立つのは理解できる。だが事実を隠蔽している。


日記を公開して過去を語る老人の勇気こそ真実を語る姿だと思う。


国益を損なうという理由で真実から目をそむけ、利益や利害を主張するイデオロギーを支持する立場に立つ産経はもはや一般紙ではない。


真実を伝えるというジャーナリズムとイデオロギーとは世界が違うとの考えを軸足に読売系日本テレビに籍を置きながら真実を追求する著者の書をボクは疑うことはできない


色んな資料があるだろうが、南京や慰安婦問題はないとしたら我々は虚偽の歴史を作ったと未来を託す人たちに思われてしまう。そんな愚を犯してはならない


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# by willfiji | 2017-05-16 11:09 | 読書 | Comments(0)